平成24年 第三回 定例会
△《本会議録-平成24年第3回-20120920-027212-諸事項-
出席議員等・
議事日程-》 平成24年第3回
神奈川県議会定例会会議録第5号〇平成24年9月20日 午前10時32分開議 ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共104名 出 席 議 員 西 村 く に こ 田 中 徳 一 郎 山 口 貴 裕 藤 代 ゆ う や 原 聡 祐 三 橋 政 雄 中 谷 一 馬 栄 居 学 根 岸 孝 之 山 下 昌 一 朗 楠 梨 恵 子 芳 賀 よ う じ 斉 藤 た か み 若 林 智 子 飯 田 満 谷 口 かずふみ 高 橋 栄 一 郎 あ ら い 絹 世 守 屋 てるひこ 柳 下 剛 八 木 大 二 郎 細 谷 政 幸 河 本 文 雄 さ と う 知 一 浦 道 健 一 青 山 圭 一 市 川 よ し 子 日 浦 和 明 土 居 昌 司 小 林 大 介 久 坂 誠 治 城 田 学 赤 野 た か し 亀 井 たかつぐ 佐 々 木 正 行 髙 橋 稔 横 山 幸 一 加 藤 元 弥 内 田 み ほ こ 長 田 進 治 国 松 誠 杉 本 透 早 稲 田 夕 季 岸 部 都 合 原 康 行 作 山 友 祐 松 本 清 か と う 正 法 宗 像 富 次 郎 安 川 有 里 軽 部 和 夫 馬 場 学 郎 渡 辺 ひ と し 小 野 寺 慎 一 郎 石 井 もとみち し き だ 博 昭 小 島 健 一 いそもと 桂 太 郎 梅 沢 裕 之 嶋 村 た だ し 寺 崎 雄 介 長 友 よしひろ 近 藤 大 輔 山 口 ゆ う 子 日 下 景 子 曽 我 部 久 美 子 菅 原 直 敏 塩 坂 源 一 郎 飯 田 誠 鈴 木 ひ で し 赤 井 かずのり 木 村 謙 蔵 桐 生 秀 昭 佐 藤 光 森 正 明 土 井 りゅうすけ 杉 山 信 雄 小 川 久 仁 子 持 田 文 男 竹 内 英 明 古 沢 時 衛 た き た 孝 徳 齋 藤 健 夫 安 藤 慶 松 崎 淳 大 村 博 信 岩 本 一 夫 相 原 高 広 笠 間 茂 治 川 上 賢 治 藤 井 深 介 国 吉 一 夫 松 田 良 昭 牧 島 功 山 本 俊 昭 向 笠 茂 幸 堀 江 則 之 中 村 省 司 久 保 寺 邦 夫 吉 田 大 成 茅 野 誠 平 本 さ と し はかりや 珠 江 豊 島 き よ し 説明のための出席者 知 事 黒 岩 祐 治 副 知 事 古 尾 谷 光 男 同 黒 川 雅 夫 同 吉 川 伸 治 理事 水 田 秀 子 政策局長 江 原 正 明 総務局長 中 島 栄 一
安全防災局長 蛯 名 喜 代 作 県民局長 武 山 哲
環境農政局長 中 島 正 信
保健福祉局長 菊 池 善 信
商工労働局長 桐 谷 次 郎
県土整備局長 高 村 栄 二
会計管理者兼会計局長 野 沢 俊
教育委員会教育長 藤 井 良 一 同 教育局長 二 見 研 一 警察本部長 久 我 英 一
警察本部総務部長 佐 藤 信 晶
人事委員会事務局長 稲 垣 良 一
監査事務局長 浄 園 英 史
労働委員会事務局長 樋 口 正 人
公営企業管理者企業庁長 古 谷 幸 治
企業庁企業局長 北 村 明 ───────────────────────────────────────
議会局出席者 議会局長 冨 田 輝 司 議会局副局長兼総務部長 水 内 康 人 同
議事調査部長 神 保 直 也 同
総務部総務課長 高 橋 克 幸 同
議事調査部 議事課長 吉 田 修 一 同
議事調査部 政策調査課長 大 石 潔 ─────────────────────────────────────── 平成24年第3回
神奈川県議会定例会議事日程第5号 平成24年9月20日午前10時30分開議第1 定県第 61 号議案 平成24
年度神奈川県
一般会計補正予算(第3号) 定県第 62 号議案 同
年度神奈川県
中小企業資金会計補正予算(第1号) 定県第 63 号議案 同
年度神奈川県
公営企業資金等運用事業会計補正予算(第1号) 定県第 64 号議案 神奈川県が管理する県道の構造の技術的基準及び県道に設ける道路標識の寸法を定める条例 定県第 65 号議案 神奈川県
防災会議条例の一部を改正する条例 定県第 66 号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非
営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例 定県第 67 号議案
国民健康保険法に基づく
都道府県調整交付金の交付に関する条例の一部を改正する条例 定県第 68 号議案 神奈川県
屋外広告物条例の一部を改正する条例 定県第 69 号議案 神奈川県
高校生修学支援等基金条例の一部を改正する条例 定県第 70 号議案 神奈川県立の高等学校等の設置に関する条例の一部を改正する条例 定県第 71 号議案
工事請負契約の締結について(
都市計画道路安浦下浦線深礎擁壁(北側工区)
新設工事請負契約) 定県第 72 号議案
工事請負契約の締結について(一般国道129
号戸田交差点立体交差工事請負契約) 定県第 73 号議案
工事請負契約の締結について(向の
岡工業高校教室棟他新築工事(建築-第1工区)請負契約) 定県第 74 号議案
工事請負契約の締結について(向の
岡工業高校教室棟他新築工事(建築-第2工区)請負契約) 定県第 75 号議案
工事請負契約の締結について(
座間高校東棟新築工事(建築)請負契約) 定県第 76 号議案 建設事業に対する市負担金について 県報第3号 専決処分について承認を求めること(平成24
年度神奈川県
一般会計補正予算(第2号))第2 認第1号 平成23
年度神奈川県
公営企業決算及び神奈川県
病院事業決算の認定について ───────────────────────────────────────
△《本会議録-平成24年第3回-20120920-027213-質問・答弁-
杉本透議員-
一般質問①リバースオークションについて②市町村における
業務継続計画の策定支援について③丹沢大山の活用について
④鳥獣被害対策について
⑤箱根地区水道事業包括委託について》 〔
議会局長報告〕 出席議員 議長共101名
○議長(竹内英明) ただいまから、本日の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○議長(竹内英明) 審議を行います。 日程第1、定県第61号議案 平成24
年度神奈川県
一般会計補正予算外16件並びに日程第2、認第1号 平成23
年度神奈川県
公営企業決算及び神奈川県
病院事業決算の認定について、以上一括して議題といたします。 これより質問並びに質疑を行います。 質問の通告がありますので、順次発言を許します。 杉本透君。〔杉本 透議員登壇〕(拍手)
◆
杉本透議員 竹内議長のお許しをいただきましたので、私は
自民党県議団の一員として通告に従い、順次、提言を交えながら質問させていただきます。 しばらくの間、ご清聴賜りますようよろしくお願い申し上げます。 それでは、早速、質問に入らせていただきたいと思います。 質問の第1は、
リバースオークションについてであります。 県財政が危機的状況にあり、県として、財政構造の抜本的な改革に取り組む中で、事業や施設の見直しなどによる予算面の措置も必要ですが、執行段階において、工夫をもって経費節減を図っていくことも重要であります。 そして、支出額を抑えるためには、契約を工夫していくことも一つの手法であり、契約方法には、公正・公平かつ透明性が求められることは当然ですが、従来のやり方にとらわれず、斬新な手法をもって取り組む必要があります。そのいい例が、
リバースオークション方式の活用であると考えております。 この方式は、いわゆる競り買いで、相手の出方によって何回も応札ができるため、競争が活発化し、大きな経費節減を見込むことができ、その活用を大いに期待しているところであります。しかし、実施対象によっては、効果が出ないものや、実施の結果について、他への影響などをよく検証していかなければならない面もございます。 新聞報道によれば、実際に国が平成23年度に試験的に実施した
リバースオークションでは、
少額随意契約の約40件を対象として行った結果、契約金が3分の1になるなど、非常に効果が見られたものもある一方、前回より高くなった事例もあるなど、さまざまな結果となっており、今年度もさらに検証を続けている状況であります。 そのような中、本県においては、工事関係において、平成23年度に
県立相模三川公園における
太陽光パネル設置工事で
リバースオークションを実施し、工事用資材の調達において大きな削減効果が得られております。また、物品の調達においても、今年度に試行を始め、これまで上半期において3件実施し、ある程度の
経費削減効果があったと承知しております。 国が検証を続けている中で、本県がいち早く
リバースオークションに取り組み、一定の効果を上げたことは評価に値しますが、今後、実施するに当たっては、丁寧に取り組むことが求められています。
リバースオークションが、通常の入札に比べ、効果が見込めるものを確実に見きわめていくことはもちろん、安くなったのはいいが、品質の低下が起きることがあってはなりません。その辺のところをしっかりとフォローしていく必要があります。 また、これは契約全般に言えることですが、県の契約は、まず、県内の業者を対象としていくことを第一に考えてほしいと思います。
リバースオークションの実施に当たっても同じであります。さらに、安く契約ができることは発注者にはよいことですが、受注者にとっては、非常に厳しいことも考慮すべきです。特に、受注先である中小企業に対する影響については、格段の配慮をお願いいたします。 中小企業は
本県事業所数の約99%を占めるなど、本県経済の屋台骨をなし、ものづくりや商品・サービスの提供などを通じ、地域の活性化や雇用の確保に大きく貢献し、県民生活の向上と地域経済の発展に重要な役割を果たしています。しかし、中小企業は経営資源が十分でなく、厳しい経営環境にある中で、急激な環境変化への対応に苦慮している状況にあります。 県としても、中小企業の活性化や振興に取り組んでいることを忘れてはなりません。中小企業が元気になれば、おのずと県内産業が活性化し、県経済の回復や、県の歳入増加にもつながっていくはずですし、県財政の健全化にも資するものと考えます。このため、
リバースオークションの実施に当たっては、県内経済の将来を担う
県内中小企業の経営に影響が生じないように、ぜひ知恵を絞っていただきたいと考えます。 そこで、知事に伺います。 今年度実施した物品調達における
リバースオークションは、中小企業への配慮を含め、どのように実施し、どのような結果が得られたのか。また、これまでの実施結果を踏まえ、今後、県として
リバースオークションについて、どのように取り組んでいくのか、あわせてお伺いをいたします。 質問の第2は、市町村における
業務継続計画の策定支援についてであります。 大規模な地震災害が発生した際、
地方公共団体は、
災害応急対策活動及び災害からの復旧・復興活動の主体として重要な役割を担う一方、災害により職員や庁舎が被災しても継続しなければならない通常業務を多く抱えています。また、
自然災害発生時に限らず、これからの季節に懸念される
新型インフルエンザが爆発的に感染拡大した場合、業務に当たる職員が激減したとしても通常業務を継続しなければなりません。 こういった大地震や
新型インフルエンザ発生の緊急時に業務を継続していく必要性から、事前対策として
業務継続計画、いわゆるBCPの策定が求められております。 昨年の
東日本大震災の際には、大津波や大規模停電など想定以上の被害が広がっている中で、多くの行政機関の業務継続に混乱が生じ、計画の必要性が改めて認識されたところであります。 国においては、
首都直下地震発生時においても国家機能、国民生活及び
経済活動等に係る重要な業務を継続するために、平成19年6月に内閣府が
中央省庁業務継続ガイドラインを作成し、その後、すべての中央省庁で
業務継続計画が策定されております。 本県におきましても、その重要性を認識し、
危機事象発生時に県民の生命、身体、財産を守り、県民生活や
県内経済活動への影響をできるだけ抑えることを目標に、平成21年12月に
業務継続計画が策定されております。 計画の中では、
非常時優先業務を大
規模地震発生時と
新型インフルエンザ発生時とに区分し、
復旧目標日数を規定するなど、きめ細かな対応を決めております。 先月29日、国は南海トラフの巨大地震の被害想定を発表しました。その内容を見ますと、関東以西の30都府県で最大約32万人の死者が発生し、県内でも最悪の場合、津波等により2,900人もの死者が発生するというものでした。 県では、
地震災害対策そのものについては、
東日本大震災を受けて、既に本年4月に「
地域防災計画」を修正し、さらに現在、仮称ではありますが、
地震災害対策推進条例を制定し、強化しようとしているところであります。また、
新型インフルエンザ対策においても、本年5月には新たな
インフルエンザ対策特別措置法が成立し、県の「
インフルエンザ対策行動計画」の改定作業が進められていると伺っております。 一方、県内市町村の状況に目を向けますと、
災害対策基本法に基づいて、防災のために処理すべき業務などを具体的に定めた計画である
地域防災計画については、県内すべての市町村で既にそれぞれ策定されており、県民の災害に対する安心を高める上で評価はできますが、
業務継続計画の策定状況を見ますと、いまだに全市町村で策定されておらず、特に大
規模地震発生時における計画策定は数例でしかありません。 昨年の
東日本大震災の際にも、非常時において県と市町村が一体となって取り組むことの重要性が改めて確認されたところではありますが、住民に直接、身近な
行政サービスを提供する市町村において
業務継続計画が策定されていない場合、危機発生後の住民生活に多くの不便が生じるものと予想されることから、県として市町村における計画策定がさらに促進されるよう働きかけることが必要であります。 そこで、知事に伺います。
首都直下地震や神奈川県西部地震などの切迫性が指摘される中、あるいは
新型インフルエンザの流行が懸念される中、市町村の
業務継続計画策定に向けて、県の積極的な支援が必要と考えますが、知事の見解を伺います。 質問の第3は、丹沢大山の活用についてであります。 まず、丹沢大山の登山道と山岳トイレの整備について伺います。 丹沢山地は、標高はそれほど高くないものの、多様な自然と独特の景観を有し、登山や沢登りなどに大変人気のある場所でありますが、登山の歴史はそれほど古くないと聞いております。 丹沢は、昔、修験者の修行の場であり、昭和の初め頃も一部の登山家しか来ない深いササやぶに覆われ、登山道も整備されていなかったようであります。しかし、昭和30年の第10回
国民体育大会で登山部門の会場になり、登山道や山小屋がつくられ、昭和40年に丹沢大山国定公園に指定された頃には最初の登山ブームが起こり、都会から多くの登山者が訪れるようになっています。 その後も、丹沢山が日本百名山に選ばれたこともあって、大山登山ルートや、塔ノ岳や丹沢山に続く表尾根ルート、大倉尾根ルート、檜洞丸に至るツツジ新道ルートなどは、年間を通じて登山者が多く訪れます。 現在、丹沢大山国定公園の利用客は年間240万人とのことであります。また、最近は登山を趣味とする若い女性のことを山ガールと呼ぶなど、中高年の方のみならず、登山を趣味とする人の性別や年齢層は多様化し、全国的にも登山ブームが再燃している状況となっております。こうした新たな利用客も快適に過ごせるようにして、観光を通じた地域の振興につなげるためにも、丹沢の登山ルートを整備していくことは喫緊の課題であると考えます。 そこで、登山ブームである今こそ、都会の多くの方に身近にある丹沢大山の豊かな自然環境と美しい景観に親しみ、丹沢で取り組んでいる人工林の手入れ不足解消の取り組みやブナ林の立ち枯れの課題などを肌で理解してもらうには、登山道の整備や山岳トイレの設置などが非常に重要なインフラ整備になると考えます。 中でも、山岳トイレについては、県や市町村により設置されたものや、民間が経営する山小屋などに設置されたものがありますが、中には従来型の浸透式トイレもあるため、長期間の使用により水源環境に悪影響を及ぼすことが懸念されております。 県では、平成19年度以降の20年間を視野に入れた「かながわ水源環境保全・再生施策大綱」に基づいて、平成24年度からは第2期実行5か年計画を策定し、水量・水質を将来にわたり安定的に確保するため、森林整備や生活排水対策などの特別対策事業を推進していると承知しております。 その取り組みの一つとして、平成24年度からは、山小屋などの浸透式トイレの環境配慮型トイレへの転換や、市町村による環境配慮型山岳トイレの新設に対する補助制度が創設されたところでありますが、維持管理に充てる利用者の協力金の状況によっては、適切なトイレの管理に支障を来すことも懸念されています。 そこで、
環境農政局長に伺います。 丹沢大山の登山道や山岳トイレの整備について、これまでの実績と今後どのように取り組んでいくつもりなのか、お伺いいたします。 次に、ユーシンロッジについて伺います。 ユーシンロッジは、昭和45年に県民レクリエーションの効用を図るための野外休憩施設として、西丹沢の玄倉渓谷の奥に設置されました。この施設は塔ノ岳、丹沢山、蛭ヶ岳など、丹沢主稜線のピークを1日で往復できる場所に立地していることから、これまで長い間、西丹沢の登山の拠点として多くの登山者の人気を集めるとともに、登山者の遭難時における救護活動の拠点や緊急避難場所としての役割も果たしてきたところであります。 しかし、平成19年に、ユーシンロッジへ至る玄倉林道の青崩トンネル内部の岩盤に亀裂が入ったことで玄倉林道が通行どめになり、それに伴って、現在に至っても通常の施設運営が5年間にわたって休止されている状況にあります。 このユーシンロッジの周辺の渓谷は、丹沢の黒部と称されるほど大変美しく、白い石の河原とエメラルドグリーンの澄んだ清流、夏にはまぶしいほどの緑にあふれ、秋には西丹沢随一の見事な紅葉が見られる、まさに知事のおっしゃるマグネット力にあふれる地域であります。 このような魅力に囲まれたユーシンロッジは、登山客の間にも再開を望む声が多く、また、地元の山北町からも県に対して、山岳事故等の遭難予防の観点からも必要な施設であるとして、再開の要望がなされてきたところであります。 このような中、林道の通行どめに伴い、新設工事として進められてきた新たなトンネルである新青崩隧道が昨年10月完成し、徒歩で通行できるようになり、ようやくユーシンロッジへのアクセスも可能となりました。 昨年11月には、黒岩知事もトンネル開通後の現地をごらんいただいており、ユーシンロッジ周辺のすばらしい自然環境と施設の魅力について十分肌で感じておられることと思います。 また、ユーシンロッジは、登山客はもちろんですが、80名を収容する規模を生かして、周辺の豊かな自然体験を売りにして、林間学校や企業の研修などの受け皿としてなど、さまざまな目的で活用できるのではないかと考えております。家族連れにとっても、ハイキング、河原遊び、渓流釣りなど、魅力的な場所であり、多くの人を引きつけるマグネット施設になることが大いに期待されています。 そして、今後、ユーシンロッジを中心とした地域を、貴重な自然環境の宝庫がすぐそばにある大変有望な観光資源として活用すれば、人々が何度も訪れてみたいと思う、より魅力的な観光地にしていくことも可能であると考えます。 現在、登山を楽しむ方々の裾野が大きく広がっていると言われており、だからこそ、この絶好の機会を逃さず、丹沢大山地域の魅力を効果的にPRし、多くの登山者や観光客を呼び込むべきであり、そのためには、核となる施設であるユーシンロッジを早期に再開し、活用すべきであると考えます。 先ほども申し上げましたが、登山客や地元からも、以前にも増して、ユーシンロッジの再開を望む声が高まっております。 そこで、知事に伺います。 現在、施設運営を休止しているユーシンロッジを早期に再開し、観光施設として活用すべきと考えますが、ご見解をお伺いします。 質問の第4は、鳥獣被害対策についてであります。 近年、野生鳥獣による被害が全国的にふえて、ますます深刻の度合いが高まっていると新聞報道やテレビ報道などで見聞きすることが多くなってきております。私の地元の足柄上地域管内でも、野生鳥獣による農作物被害は深刻で、この直近3年間の平均で見ると、年間被害総額が1,300万円程度になっており、県と地元が連携して被害軽減に努めていますが、思うように効果は上がっておらず、その対応に苦慮しているところであります。 県では、ニホンジカ及びニホンザルについて保護管理計画を策定しており、このうちニホンジカについてのみ丹沢大山で植生回復などを目的とした管理捕獲を県が直接実施していますが、一方、山麓部でのイノシシ、ニホンジカ、ニホンザル等の農作物被害軽減のための有害鳥獣捕獲や防護柵の設置、追い払い等といった対策については、各市町村がそれぞれ主体となって実施しています。 県は市町村に対して、対策に必要な事業費に対する財政的な支援や、効果的な捕獲、追い払い等の方法といった技術的な支援を行っていることは承知しております。しかし、山麓部では、農作物被害軽減のための有害鳥獣捕獲等の対策を各市町村がそれぞればらばらに取り組みを行っていては、なかなか思うような効果が得られないと考えます。 さらに、このところ増加している耕作が放棄された畑ややぶなどは、猿やイノシシにとっては絶好の隠れ場所になってしまっていて、こうした場所は猿やイノシシが農地へ接近することを容易にしています。また、出荷しない野菜や果樹を農地に捨てたり、収穫しないでそのまま取り残し放置することが、猿やイノシシを誘引しやすい環境を生み出し、餌を求めてやってきたこれらの動物がそのまま農地周辺に定着してしまうことにつながっております。 こうした耕作放棄地や放置果樹への対策の必要性は地元の方々も十分に認識していると思いますが、農家の担い手不足や高齢化もあってなかなか進まない状況にあります。さらに、耕作放棄地や放置果樹に対する対策のおくれは、さらなる鳥獣被害を発生させる悪循環に結びついてしまうことから、早急な対策が必要であります。 また、鹿や猿は行政区域を越えて生息しており、捕獲圧の高い市町村から捕獲圧の低い市町村へ移動してしまうので、隣接する市町村間の連携による取り組みが必要不可欠であります。しかし、地域間では必ずしも十分な連携がとられているとは思えないことから、全体的な農作物被害軽減になかなか結びついていかないと考えております。 そこで、
環境農政局長にお伺いします。 さまざまな課題を抱える山麓部での農作物被害を少しでも減らすには、イノシシを初め被害を多く与える有害鳥獣対策について、実効性のある対策を講じていく必要があります。今後、県としてどのように取り組みを進めていこうと考えているのか、見解をお伺いいたします。 質問の最後は、箱根地区水道事業包括委託についてであります。 ここ数年、海外への水ビジネス事業の展開への関心が高まっております。特に水道事業を担う自治体の動きは活発で、平成22年には、海外展開に関心の高い自治体の連絡会議として、自治体水道国際展開プラットフォームが設置され、県企業庁も参画していると聞いております。 横浜市や東京都では協議会や支援プログラムなど、公民連携による海外展開、国際貢献を支援する仕組みをつくるなどの取り組みが進められておりますし、この8月には、川崎市が世界の水環境改善への貢献を目的として、かわさき水ビジネスネットワークを新たに設立し、川崎市内の企業を中心とした海外進出の支援を始めたところであります。 こうした中で、企業庁では、水ビジネスの展開について、かながわ方式と銘打って、これまで個別に委託していた業務に加えて、企業庁が直接行ってきた水道営業所の運営なども含め、包括的に民間事業者に委託することにより、企業庁がこれまで培ってきた技術やノウハウを民間事業者に習得させ、まずは国内での実績を積んだ後に海外へと事業を展開していくことを目的に、箱根地区において水道事業を包括的に委託する箱根地区水道事業包括委託の取り組みを進めております。 箱根地区を選定した理由としては、この地区が県営水道の給水区域内では、水源から末端給水までの一連の業務が完結しており、民間事業者の手で包括的に運営させることが、民間事業者が実績を積むには最も適していると考えられるからであると聞いております。 昨年度には、民間事業者等とかながわ水ビジネス研究会を開催し、公民連携や包括委託に向けた情報の共有化を図るなどし、本年8月には、この包括委託を実施するに当たっての実施方針と業務要求水準案を公表し、説明会を開催するなど、事業開始に向けた準備も本格化してきております。 この取り組みに参画した民間事業者が水道事業運営の実績を積み、経営ノウハウを得て、国内外へと事業展開していくことを大いに期待しているところではありますが、一方で、包括委託により民間事業者に業務を任せた場合、これまでと同様、適切な水質管理により安全で安心な水が提供されるのか、また、さきの集中豪雨では土砂流出により国道1号が通行どめになりましたが、山間部という地理的な特徴を踏まえた災害発生時の対応など、水道の利用者に対するサービスがどう維持されていくのか、大変心配しているところであります。 そこで、企業庁長に伺います。 企業庁の水ビジネスの展開に当たり、箱根地区をフィールドとして提供し、包括委託を行う、いわゆるかながわ方式の狙いや包括委託の特徴は何か伺います。また、包括委託後の安全で安心な水道水の供給の確保、利用者サービスの維持についてどのようにお考えなのか、あわせてお伺いいたします。 以上で、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 杉本議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、物品調達における
リバースオークションについてお尋ねがありました。 県財政が厳しい中、私たちはさまざまな知恵を絞っているところであります。
リバースオークションもその一つです。
リバースオークションとは、オークションの逆、すなわち競り下げ、一番安い値段を提示した人が権利を獲得する入札方法であります。 これは調達コストの削減効果が見込まれるため、今後も積極的に活用していきたいと考えております。ただ、過度な価格競争による品質の低下や
県内中小企業の疲弊を招くようなことがあってはならないと考えております。このため、今回の試行の実施に当たって、経費削減の効果が得られやすいと同時に、品質の確保が担保され、
県内中小企業への影響の少ないものという観点により対象を選定いたしました。 具体的には、毎年発注する品目のうち、一定以上の金額であり、仕様により品質が明確となるとともに、これまで大手の事業者との契約が比較的多いものを対象とすることとし、パソコンのリースやコピー用紙、事務用消耗品を選定いたしました。また、参加事業者の拡大を図るため、県外事業者を含めるとともに、通常の一般競争入札には参加できない事業規模の小さな事業所も参加できるよう参加要件を緩和いたしました。 実施の結果ですが、昨年度に実施した
県立相模三川公園の工事に係る太陽光パネルの調達においては49.9%、約600万円と非常に高い削減効果が得られました。 今年度においては、物品調達について7月から8月にかけて3件の試行を行いました。その結果、それぞれ3者から5者の事業者が参加し、経費削減率はパソコンのリースが11.5%、コピー用紙が22.6%、事務用消耗品が19.3%で、合計では18.8%、約1,100万円の削減効果が得られました。また、参加事業者は、結果的には3件すべてにおいて県内事業者となり、これまで一般競争入札には参加できなかった
県内中小企業の参加もありました。 工事資材から物品の調達まで、これだけ幅広く
リバースオークションを試行したのは全国の自治体でも本県が初めてであり、今後、下半期においても新たな品目について試行を行いたいと考えております。 そして、来年度の実施に向けて
県内中小企業への影響や品質確保などに十分配慮を図りながら、これまでの試行結果を生かし、より効果的な実施方法や実施対象を検討してまいります。 次に、市町村における
業務継続計画の策定支援についてお尋ねがありました。
業務継続計画は大規模地震や
新型インフルエンザなどが発生した場合に、自治体の業務の中断を極力抑え、住民生活や経済活動への影響を最小限にするための重要な計画であります。 県では、平成21年12月に
業務継続計画を策定し、本年3月には
東日本大震災の経験をもとに、
非常時優先業務の追加、見直しなどの修正を行いました。 一方、現在、市町村では大規模地震を想定した計画は4市町村、
新型インフルエンザの計画は19市町村と、全市町村が策定に至っていない、そういう状況にあります。大規模地震の発生などの非常時には、県と市町村が連携して対応することが不可欠であり、そのためにも、あらかじめ双方で業務継続体制を計画として定めておくことが大切であります。各市町村でも、特に
東日本大震災以降、
業務継続計画の策定に本格的に取り組む動きが出てきており、幾つかの市町村から県に計画の中身や策定作業などの相談も寄せられております。 県としては、これまでの市町村担当者への説明会、研修会に加えて、今後は各地域ごとに市町村への説明、情報交換を行う場を設けたり、個別に市町村に伺って助言、働きかけを行うなどにより、すべての市町村で計画が策定されるよう積極的な支援をしてまいります。 最後に、ユーシンロッジについてであります。 ユーシンロッジは、昭和45年の開設以来、西丹沢登山の拠点として多くの県民に利用されてきました。私も昨年11月に現地を訪れ、きれいな水に恵まれた渓谷であることを実感したところでありました。 しかし、丹沢からユーシンロッジに至る林業用道路である玄倉林道は、落石や崩落防止の安全対策工事を実施する必要があることから、現在も林業関係車両以外は通行できない状況であり、ロッジを訪れるには徒歩による通行に限られています。また、施設の老朽化が進み、飲料水の確保などの課題もあることから、現在は登山者の緊急避難施設としてのみ利用されており、県から山岳関係団体に定期的な点検をお願いしている状況であります。 こうした中、本年2月には地元山北町からユーシンロッジの早期運営再開に関する要望をいただき、県としても、地域の活性化など幅広い観点から山北町と意見交換を行ってきたところであります。 しかしながら、ユーシンロッジを再開するためには、水回りを中心とした建物の修繕が必要であることや、再開後の管理運営方法をどうするのかといった課題があります。また、観光施設としての再開となりますと、多くの方に訪れていただくためのアクセスをどうするのかといった問題や、安全性の確保も検討していく必要があります。 そこで、県としてはこうした課題を含め、ユーシンロッジの今後のあり方について地元の意向もお伺いしながら検討してまいります。 現在、緊急財政対策の取り組みを進めているところであり、当然、見直しの対象となります。しかし、魅力あふれる場所でもありますので、民間活力の導入なども含め、どういった工夫ができるか、あわせて考えていきます。 私からの答弁は以上です。〔
環境農政局長(中島正信)発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 中島
環境農政局長。
◎
環境農政局長(中島正信) 環境農政局関係のご質問にお答えいたします。 まず、丹沢大山の登山道と山岳トイレの整備についてお尋ねがございました。 丹沢大山は首都圏有数の自然の宝庫であり、都市部に隣接していることから、多くの登山者や観光客に親しまれております。県では、こうした登山者等の利便性向上と環境保全のため、登山道やトイレの整備を進めております。 登山道については、これまでに47路線、約310キロメートルに木道や丸太階段、指導標などを整備してまいりましたが、近年、利用の多い大山や塔ノ岳などでは荒廃が進んでおります。そこで、従来から県が行っている整備に加えまして、県民の皆様と協働し、平成20年度から大倉尾根線の補修活動をNPO法人みろく山の会と、さらに23年度からは鍋割山に至る二つの登山道の補修活動を丹沢山小屋組合と取り組んでおります。 次に、山岳トイレについては、これまで県として丹沢大山の主要な登山口や山頂などに36カ所の整備を行ってまいりました。その結果、市町村や民間が設置したものも含めて現在136カ所のトイレがございますが、そのうち水源に悪影響を及ぼす懸念がある浸透式トイレが山小屋を中心に9カ所残っている状況でございます。 そこで、県では、今年度から県が整備費の全額を負担し、維持管理経費は利用者からの協力金で賄う県民協働の仕組みをスタートさせ、山小屋などが環境配慮型トイレに転換する場合や市町村が新設する際に支援することといたしました。 今後の取り組みでございますが、丹沢大山の豊かな自然環境は県民共有の財産でございますので、利用に当たっては、環境の保全を常に意識することが重要です。そこで、登山道につきましては、現在行っている県民協働の取り組みを積極的にPRし、その輪をさらに広げてまいります。 また、山岳トイレにつきましては、設置者のご理解をいただきながら、9カ所ある浸透式のすべてを環境配慮型へ転換することを目指すとともに、市町村に新たな山岳トイレの設置を働きかけたいと考えております。その際、環境配慮型トイレは丹沢大山の環境を保全するため欠かせぬものであり、適切な維持管理のためには利用者の協力がぜひとも必要であることをしっかりと周知し、ご理解をいただくよう努めてまいります。 次に、鳥獣被害対策についてお尋ねがございました。 野生鳥獣の被害対策は、地域の実情や鳥獣の行動特性に応じて、捕獲や防護柵の設置、隠れ場となる耕作放棄地の適正な管理などを組み合わせ、県と市町村や各地域が役割を分担し、かつ連携して取り組むことが効果的でございます。 具体的には、行動範囲が狭いイノシシについては、各市町村が中心となり、県は財政支援や鳥獣被害防除対策専門員を配置して、技術支援などを行っております。一方、行動範囲が広く、また個体群の維持が必要な鹿、猿については、県が「保護管理計画」を策定し、市町村や地域とともに保護管理を実施しており、農業被害軽減のための対策も行ってまいりました。 この結果、イノシシ、鹿、猿による平成23年度の農作物被害額は22年度の約8,700万円から約5,200万円に減少いたしました。しかしながら、依然、被害額は多額でありますし、収穫直前の農作物が食い荒らされてしまうことで、農家の皆さんが営農意欲を失うことにもつながる深刻な問題と認識しております。 そこで、今年度からスタートした鹿及び猿の第3次保護管理計画では、山麓部での農作物被害の軽減対策も強化することといたしました。 まず、鹿については、農作物被害を軽減するための捕獲数を23年度の1.5倍に当たる1,200頭にふやすとともに、狩猟者に対する1日当たりの捕獲数制限を撤廃いたしました。また、農家のわな免許取得を促進することとしております。 次に、猿については、人の生活圏と猿の行動域とのすみ分けを基本としつつ、第2次保護管理計画策定後に発生し、市街地や農地を中心に行動している群れの捕獲を強化してまいります。さらに、猿の被害発生場所や捕獲、追い払いなどの対策を地図に記載し、隣接市町村間で情報を共有し、連携して効果的な対策を実施してまいります。 こうした取り組みに加えまして、今年度、地域県政総合センターの環境と農政部門が一体となって、営農面からの助言も含めた総合的な支援を行う鳥獣被害対策支援チームを立ち上げました。さらに、この9月から環境農政局内に農作物被害対策のプロジェクトチームを設置し、センターの支援チームと連携して対策を講じてまいります。 農家の皆さんの状況を十分に把握しながら、こうした対策を着実に進め、農業被害が軽減できるよう取り組んでまいります。 答弁は以上でございます。〔企業庁長(古谷幸治)発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 古谷企業庁長。
◎企業庁長(古谷幸治) 企業庁関係についてお答えいたします。 水ビジネスの展開における箱根地区水道事業包括委託についてお尋ねがございました。 まず、かながわ方式の狙いや包括委託の特徴についてでございますが、我が国においては、水道事業は公営が原則であったことから、民間事業者に海外における受注の際に求められる水道事業の運営実績がなく、このことが事業参入の阻害要因となってございます。 さらに、国内に目を向けますと、中小の水道事業体にありましては、厳しい財政状況や経験豊富な職員の退職による人材不足などを背景に、事業運営が困難となることも懸念されているところでございます。今後、民間事業者の水道事業への参入機会が拡大することが予想されております。 こうしたことから、企業庁では、まずは民間事業者が水道事業のさまざまな技術や運営ノウハウを習得し、実績を積むことにより、長期的には海外へ事業展開していくことを狙いとして、箱根地区の水道事業を包括的に委託することといたしました。 次に、包括委託の特徴でございますが、水源から末端給水までの一連の施設が整ったフィールドを提供することで、水道メーターの検針業務などのほか、浄水技術の習得やこれまで手がける機会のなかった水道施設工事の発注や維持管理など、ほぼすべての業務を事業者が習得することが可能となります。 このかながわ方式による水ビジネスの展開手法は、これまで行ってきた研究会やセミナーに多くの民間事業者や水道事業体が参加されるなど、先進的な取り組みとして高い関心と期待が寄せられているところでございます。 次に、安全で安心な水道水の供給確保についてですが、業務の受託を希望する事業者に対し、業務水準として、水道法に基づく受託水道業務技術管理者を初め、事業実施に必要な能力や経験を有する人員の配置などを求めてまいります。また、災害発生時には現在の企業庁の災害対策と同等の体制確保を義務づけることとしてございます。 今後、この業務水準に沿って提案を公募いたしますが、確実に業務を履行できる受託者を選定し、契約後も業務の実施状況等を定期的に確認してまいります。また、仮に不測の事態が生じた場合にありましては、企業庁も全面的なバックアップ体制を整え、安全で安心な水道水の供給やお客様へのサービスをしっかりと確保してまいります。 答弁は以上です。〔杉本 透議員発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 杉本透君。
◆
杉本透議員 自席より発言させていただきたいと存じます。 再質問を幾つかさせていただきたいと思います。 まず、1点は、今、
環境農政局長からお話がありました鳥獣被害対策支援チームというのを県政総合センターのほうで立ち上げるというお話でございますけれども、本年度からスタートしたわけではありますけれども、取組状況がどういうふうになっているのか、また、今後どのような形で進めていこうと考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。 それから、企業庁にお聞きしたいのですが、包括委託でありますけれども、業者の選定ですね。どのような形でその業者を選定していこうとお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。〔
環境農政局長(中島正信)発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 中島
環境農政局長。
◎
環境農政局長(中島正信) 環境農政局関係の再質問にお答えさせていただきます。 鳥獣被害対策支援チームでございますが、この支援チームは、地域みずからが継続的、計画的な鳥獣対策を推進していく仕組みづくりを目指しております。被害が深刻で、地域での協力体制が整っております厚木市、秦野市、伊勢原市、南足柄市の中に重点取組地域を選定して取り組みを始めております。 具体的には、地域と連携いたしまして、センサーカメラによって被害に遭いやすい農地を把握し、また地理情報システムを活用して、農地の管理状況の把握などを行っております。そして、加害鳥獣の捕獲方法、また営農民も考慮した対策に関する研修を実施しております。 今後はこれからの事業の実施の計画を作成いたしまして、この計画に基づいて捕獲や追い払い、被害を受けにくい作物の栽培、放置された果樹とか捨て野菜の防止、このような営農指導もセットで行ってまいります。 さらに、環境農政局のプロジェクトチームがしっかりとサポートいたしまして、重点取組地域における成功事例を積み上げ、他の地域へ広げ普及していくことを目指してまいりたいと考えております。 以上でございます。〔企業庁長(古谷幸治)発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 古谷企業庁長。
◎企業庁長(古谷幸治) 再質問にお答えいたします。 選考をどのように行っていくかというご質問でございました。 私ども、今回の選考に当たりましては、プロポーザル方式での選考ということを考えてございまして、一定の事業者が特定目的会社をつくるためのそういう企業団を組んでいただきまして、その企業団ごとの提案をいただく、こういうような形をとってございます。そのためには、私どものほうでしっかりした選考基準を設けなければなりませんので、選考委員会等も設置いたしまして、その中で民間の有識者、学識者を含めた、そういう選考委員会でしっかりと事業者を選定してまいりたい、このように考えてございます。 以上です。〔杉本 透議員発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 杉本透君。
◆
杉本透議員 まず、企業庁のほうの話でありますけれども、プロポーザルでやるのは結構なんですけれども、少なくとも県内の事業者を優先的にといいますか、優先ではありませんね、事業者がいっぱいあるわけですから、県内の事業者をぜひ使っていただけるような形をとっていただけるかどうか、再度、質問させていただきます。〔企業庁長(古谷幸治)発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 古谷企業庁長。
◎企業庁長(古谷幸治) 今回の要件の中には県内に本社を設けている、もしくは支社を設けている、そういう企業が中心になって提案をしていただくという形をとってございます。当然ながら、地域的な特性もございますので、特に箱根の地域の事業者を共同事業体の中に入れる、または協力会社として入れていただくというようなことも出てくるのだろうというふうに思っております。そこで条件づけということはなかなか難しゅうございますけれども、その中ではどのような非常時の対応ですとか、そういうような取り組みの手法等も中で聞かせていただくようなことになろうかと思いますので、地元の事業者の参画ということも十分に考えられるというふうに私どもは考えてございます。〔杉本 透議員発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 杉本透君。
◆
杉本透議員 最後に、要望させていただきたいというふうに思います。 まず、
リバースオークションでありますけれども、物品の購入については、
リバースオークションによって、より経済効果があらわれるというのは結構なんですけれども、要は人件費が多額を占めるような公共工事にはなじまないだろうというふうに思っております。基本的に人件費が絡む問題というのは、相当中小企業を泣かせてしまうような状況に陥る可能性があります。県としては、中小企業の育成というのを主眼に置いた取り組みをしているわけでございますから、ぜひその辺はしっかりと、どのような実施対象にするのかということを再度お考えいただいて、
リバースオークションの推進に努めていただきたいというふうに思います。 それから、
業務継続計画でありますけれども、実は質問の中ではしませんでしたけれども、企業に対する
業務継続計画も必要性があると思います。昨日、知事も民間企業のフォーラムにBCPのあり方について何かお話をされたというふうに報道で承っておりますけれども、大企業は率先してやられる、またやっていらっしゃるというふうに聞き及んでおりますけれども、中小企業はまだまだ
業務継続計画というのはできていないというのが実態だと思っております。神奈川県も企業に対する早期の策定に向けての指導といいますか、支援をしていくというようなことをおっしゃっておりますけれども、これは企業から言われるのを待っているのではなくて、積極的に取り組みを推進していただきたいというふうに要望させていただきたいというふうに思います。 それから、山岳トイレでありますけれども、山岳トイレにつきましては、浸透式の9カ所を環境配慮型に変えていただく、これは結構な話でありますけれども、要は、今その中で一番問題なのは維持管理費なんですね。年間約40万円ぐらいかかると言っておるんですね。それを今まで利用者の協力金で賄っておったわけですけれども、なかなか厳しい状況があるやに聞いている部分もあります。ぜひ状況に応じては、維持管理に対しましても、県として状況を判断していただきまして、何らかの形で手を差し伸べる手段を講じていただければありがたいというふうに思っております。 それから、ユーシンロッジでありますけれども、私の地元でもあるわけでございます。これは知事と一緒に昨年11月に見てきたわけでありますけれども、これは町の振興には欠かすことのできない施設として考えているわけであります。 山北町は丹沢湖をつくりました。そのときに、大変多くの犠牲を払った中で、山北町は県に水の供給という非常に重要な役目を担っているわけであります。その中で、昔と比べて山北町というのは、人口もそのために流出し、大変な状況下にある中で、県としてもその振興にできるだけ手を差し伸べようという視点から、あらゆる施設もつくっていただきました。ユーシンロッジもその以前にできておりますけれども、考え方は一緒でありますので、ぜひ地域の振興のためにも、山北町も要請に来ておったわけでございますけれども、早期に前向きに検討していただきますように、これは切にお願いを申し上げるところでございます。 時間もありません。委託事業につきましては、5年間という短い期間に本当に多くの事業者を底上げできるのかというのは甚だ疑問であります。ぜひその辺もひとつ工夫をしていただきまして、多くの事業者が参画できますように、よろしくお願い申し上げ、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○議長(竹内英明) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(竹内英明) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は午後1時といたします。 午前11時26分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-平成24年第3回-20120920-027214-質問・答弁-早稲田夕季議員-一般質問①海岸の侵食対策・津波対策について②基礎自治体への権限移譲における課題について③「武家の古都・鎌倉」の世界遺産登録について》 午後1時 再開 〔
議会局長報告〕 出席議員 副議長共92名
○副議長(笠間茂治) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○副議長(笠間茂治) 質問を続行いたします。 早稲田夕季さん。〔早稲田夕季議員登壇〕(拍手)
◆早稲田夕季議員 議長のお許しをいただきましたので、私は民主党・かながわクラブ県議団の一員といたしまして、通告に従い、地元鎌倉を初め、県政の諸課題について順次質問させていただきます。 知事、教育長、企業庁長並びに
県土整備局長におかれましては、明快なるご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。 質問の第1は、海岸の侵食対策及び津波対策についてです。 本年6月の台風4号は、強風により建設中だった
海の家を国道134号まで吹き飛ばすなど、相模湾東部の海岸線に大きな被害をもたらしました。近年、波消し機能を有する砂浜が後退をしていることから、津波や高潮が起きると、その被害は甚大なものになりやすいと言えます。さらに、津波や高潮に対して、一部の地域では堤防等の海岸保全施設の高さが足りない箇所があるなど、県民の安全確保の観点から、対策の早急な取り組みが必要です。 神奈川県では、侵食の進む砂浜の回復・保全を図るために、平成23年3月に「相模湾沿岸海岸侵食対策計画」を策定いたしました。相模川と酒匂川に大別される流砂系を基本といたしました山から川、海という連続した総合的な土砂管理とともに、個々の海岸の特性を踏まえた養浜対策、つまり人為的に砂浜をつくっていく、こうした養浜対策が主として計画されております。 相模湾の海岸侵食の原因としては、河川からの砂利採取、ダムの堆積による土砂の減少、また、海岸に設置をされました防波堤など構造物による沿岸の流れの阻害等々が挙げられております。そうした原因を一つ一つ改善していこうとして、県ではいろいろな取り組みが行われております。私も相模ダムの堆積土砂のしゅんせつ現場並びに大久保沢の砂防堰堤、こちらを視察させていただきました。まさにこうした相模ダム、そして酒匂川の堆積土砂を利用した養浜が継続的に行われてきたと理解しております。 県がこれまでに実施してまいりました養浜量は、平成22年度実績で約10万4,000立米、平成23年度実績は13万3,000立米、そして今年度は13万7,000立米と、年々増加して計画しております。 茅ヶ崎の中海岸におきましては相模ダムの堆積土砂を活用しておりまして、養浜が行われております。また、横須賀海岸の秋谷地区では、れきという大きな粒の砂、これを特徴的に養浜事業を実施しておりまして、この集中的に行われるところによりましては、非常に効果があらわれております。茅ヶ崎海岸では海岸線が15メートル、また秋谷のほうでは20メートル前進したということで、砂浜回復の効果が着実にあらわれていることを評価したいと思っています。 しかし、一方、現在の養浜対策が対処療法であり、抜本的な対策にはなっておりません。海岸内の砂を移動させる、たまっているところから減ってしまっている方向へ持っていくサンドリサイクルや飛んだ砂を戻す、飛砂を戻すなどの養浜対策が行われている維持的養浜が各海岸で行われておりますが、そうした市町からは一向に改善されない、抜本的な対策をぜひ進めてほしいという要望が継続的に上がっていることも事実です。こうした点を踏まえて伺ってまいります。 これまではこの現状維持的な養浜対策が主流でございましたが、そうした地元の声も踏まえながら、新たな取り組みとして、天竜川の美和ダムのように、ダムをバイパス化して、上流の土砂を下流に流す、こうした排砂バイパス等の手法も検討課題ではないかと思っております。 そこで、企業庁長と
県土整備局長に伺います。 ダム管理者として、ダムの堆積土砂対策を進める上で、山から海への連続性を重視して、ダム直下への土砂移動のための排砂バイパスの実現可能性について、企業庁長のお考えを伺います。 本県では、なぎさづくり促進協議会等が開催されておりますが、実際に海岸の侵食対策において、地域の意見をどのように把握し、また養浜対策の効果が見えにくいとされている海岸においては、どのように改善していくのか、今後の課題として、
県土整備局長の所見を伺います。 さらに、養浜材の確保の観点から伺います。国の直轄である宮ヶ瀬ダムの堆積土砂をしゅんせつし、養浜材へと活用する方策を、平成22年第1回定例会予算委員会において、我が団の近藤議員が提案しておりますが、その進捗状況について、あわせて所見を伺います。 この項の最後でございますが、津波対策についてです。 一部の地域では、堤防の海岸保全施設の高さが足りない箇所もありますが、高い防波堤をつくれない現状においては、国道134号がある程度の防波堤としての役割が期待されております。しかし、134号の下には海岸へ通じる通路がある場所もありまして、非常に津波発生時には周辺の住宅等への被害拡大が懸念されるところです。 そこで、
県土整備局長に伺います。 国道134号下の通路に開閉式の防潮扉を設置するなど、また海岸からの避難の階段を増設し、地域住民と海岸利用者の安全策を講ずるべきと考えますが、
県土整備局長の所見を伺います。 以上です。〔
県土整備局長(高村栄二)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 高村
県土整備局長。
◎
県土整備局長(高村栄二) 県土整備局関係についてお答えいたします。 まず、海岸の侵食対策についてです。 県は平成23年3月に養浜を主体とする「相模湾沿岸海岸侵食対策計画」を策定いたしました。この計画では、侵食の著しい茅ヶ崎海岸中海岸地区などで計画的な養浜を主とした砂浜の回復を実施することといたしまして、鎌倉海岸、逗子海岸などでは維持的な養浜による侵食防止を実施することとしています。今年度は市町などのご協力をいただきながら、13カ所の海岸で約13万7,000立方メートルの養浜を予定しています。 事業を進めるに当たりましては、山・川・海の連続性を考える県民会議を開催し、県が進める侵食対策について、県民の方々から広く意見を伺うとともに、茅ヶ崎海岸などでは地元住民、海岸利用者、漁業者などで構成する協議会を開催し、意見を伺っています。あわせて、沿岸市町からも意見をいただいているところです。 次に、養浜対策の改善についてですが、各海岸では養浜の効果を確認するため、毎年、海岸線の変化を把握する測量を行っています。今後、この結果に基づき、養浜の効果の検証を行い、侵食が見られる場合には、各海岸により適した砂粒の大きさや養浜量をふやすことについて検討してまいります。 また、養浜材の確保についてですが、県は宮ヶ瀬ダムのしゅんせつ土砂を活用するため、国と調整を進めています。国は土砂搬出路を平成22年に整備したところであり、今後、ダムの堆積状況を見ながらしゅんせつを実施すると聞いています。県といたしましては、しゅんせつ土砂を養浜材として活用できるよう国に積極的に働きかけ、安定的な養浜材の確保に取り組んでまいります。 次に、海岸部における津波対策についてです。 まず、国道134号下の海岸に通じる通路については、鎌倉市や逗子市など、全体で約20カ所設けられています。津波対策の基本的な考え方は、おおむね数百年から1,000年に1回発生する最大クラスの津波に対しては、避難することを最優先として避難体制の整備を進め、おおむね数十年から100数十年に1回程度発生する規模の津波に対しては、内陸への侵入を防ぐ堤防などの施設整備を進めることを基本としています。 こうした考え方に基づき、現在、県は海岸ごとの計画堤防高の設定を進めているところであり、今後、堤防の構造検討に着手します。その際、防潮扉の設置については、通路の管理者である市と連携して検討してまいります。 次に、避難階段についてですが、県は海岸から道路へ上がる階段をおおむね500メートル間隔で設置してまいりました。県といたしましては、堤防の高さが足りず、今後、整備を行う箇所については、堤防の構造検討時に砂浜の広さなどを考慮しながら、階段式の堤防が可能かどうか検討してまいります。また、堤防の高さが確保されている箇所については、海岸の利用状況などを考慮しながら、階段の増設を検討します。検討の際には、関係市や地元の方々などのご意見も伺ってまいります。 私からの答弁は以上です。〔企業庁長(古谷幸治)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 古谷企業庁長。
◎企業庁長(古谷幸治) 企業庁関係についてお答えいたします。 排砂バイパスの実現可能性についてお尋ねがございました。 排砂バイパスは貯水池に流れ込む土砂を上流部からトンネルに導き、ダムを迂回し、ダム下流へ流水とともに流すもので、ダムの堆砂対策のうちの一つの工法として、近年、我が国で取り入れられ始めたものでございます。現在、国内においては、関西電力株式会社の朝日ダムや国土交通省中部地方整備局所管の美和ダムなどに幾つかの事例がございます。 排砂バイパスにつきましては、大雨などの出水により、土砂を排出するため、効率性は高いものの、トンネルの建設費が非常に高く、近年完成いたしました美和ダムの排砂バイパスにつきましては、延長約4.3キロメートルで総事業費約280億円がかかっていること、土砂が流れることによるトンネルの摩耗対策が必要であること、土砂を押し流すためトンネルの勾配を一定程度確保する必要があること、場合によっては、上流に貯砂ダムを設置する必要があること、こういった課題がございます。 仮に相模ダムにおきましてダムの堆砂対策としてこの排砂バイパスを考えますと、相模貯水池の上流にトンネルの入り口を設けたといたしまして、相模ダムの下流には近接して沼本ダムと城山ダムがございますので、これら三つのダムを迂回し、城山ダムの下流に出口を設ける必要がございます。このため、トンネルの全延長は約19キロメートルにも及ぶ上、高低差がなく、勾配は緩くなるため、ダム下流の河川へ流せる土砂は非常に細かな土砂に限られ、養浜材に適さないものとなります。加えて、排砂バイパスを設けたといたしましても、粒径の大きい土砂は貯水池内にとどまりますので、しゅんせつを併用して行う必要がございます。 このようにトンネル延長が長くなることにより、膨大な建設費用がかかることに加え、しゅんせつ費用も必要になることから、費用対効果を考えますと、現在行っているしゅんせつ事業を継続することが最良であると考えております。 答弁は以上でございます。〔早稲田夕季議員発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 早稲田夕季さん。
◆早稲田夕季議員 ありがとうございます。
県土整備局長、そして企業庁長からご答弁をいただきました。 質問者席より、要望と再質問をさせていただきます。 ダムの土砂堆積というのは宿命的なことでありまして、そのためにいろいろなところでいろいろな方策がとられているわけですけれども、今現在、県が行っているダムの堆積土砂対策と養浜事業をつけたものについても、堆積土砂をしゅんせつするだけで年間15億円という大きな予算がかかっております。さらに、養浜事業とすると、それのプラスアルファということになってまいりまして、これは県が今行っている事業でも大変膨大な経費がかかっている中で、ぜひ養浜対策に使っている、今は3万立米プラス2万立米ぐらいだと思うのですけれども、そのことについても、もう少し検証をしていただけるようにお願いしたいと思います。 今、効果があらわれているところは大変効果があらわれているわけですけれども、ダム砂が使えていない場所も多いわけです。そうしたところに、どのように、地元では侵食の対策が進んでいないと実際に言われているわけですから、今あるいろいろな協議会だけで済ませるのではなく、例えば定期的に5年間とか、そうした期間を定めた検証のシステムをつくっていただき、もっと地元の声を踏まえた、これを捉えていただいた養浜対策を進めていただきたいと思いますが、お考えを伺いたいと思います。〔
県土整備局長(高村栄二)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 高村
県土整備局長。
◎
県土整備局長(高村栄二) お答えいたします。 現在の「侵食対策計画」は学識者や関係行政機関で組織いたします相模湾沿岸広域漂砂調査技術検討会、こういった検討会を設置して、助言を得ながら検討を進め、平成23年3月に策定いたしました。現在、海岸ごとに毎年測量を実施しまして、データを集めている段階でございます。測量によりまして経年変化を把握した上で、養浜計画の見直しが必要と考えられる場合は、この技術検討会を開催して検証を行ってまいりたいというふうに考えております。その際には市町や県民のご意見も伺ってまいりたいと、このように考えております。 以上でございます。〔早稲田夕季議員発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 早稲田夕季さん。
◆早稲田夕季議員 ご答弁をいただきましたが、検討会ということなんですけれども、これはあくまでも学識者の方が中心なのかと思っております。確かに毎年データをとっていただきまして、砂浜を見ていただいていることは承知しておりますけれども、もう少し地元に入っていただくような協議の仕方もあるのではないかと思います。1年や2年で効果があらわれるものではありませんけれども、この「侵食対策計画」ができるもっと前から、ずっと10年来ということで、養浜対策は神奈川県では行われているわけですから、それでも効果が見えないという市町が実際にありますので、もう少し地元の声を反映できるような検討会の仕組みづくりをぜひ進めていただきたいと要望させていただきます。 また、いろいろご答弁がございました中で、宮ヶ瀬ダムについてでございますが、これも国のほうで搬入搬出路をつくったということを私も聞いております。そしてまた、二、三年後にはその上に土砂ダムもつくる予定とも聞いておりますので、こういういろいろな状況が数年後には整うのではないかと思いますから、引き続き神奈川の養浜対策にしゅんせつ土砂を使えるように働きかけていただくことを要望いたします。〔早稲田夕季議員発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 早稲田夕季さん。〔早稲田夕季議員登壇〕
◆早稲田夕季議員 質問の第2は、基礎自治体への権限移譲における課題についてであります。 まず、地方交付税不交付団体に対する支援について県の考えを伺います。 いわゆる地域主権改革第2次一括法の成立により、これまで県が移譲してきた事務の一部を含む数多くの事務が市町村に移管され、あるいはこれからも移管されることとなっています。本来、一括法による権限移譲に伴う事務量の増大については、国の責務において、新たな雇用の確保や設備投資に係る経費の財政的支援がなされるべきであると考えます。 権限移譲により市町村で必要となる財源については、不交付団体も含めた確実な措置を講ずるよう、国に対して神奈川県地方分権改革推進会議において要望しておりますが、国としての措置は、地方交付税交付金の基準財政需要額として見込むにとどまり、不交付団体であります県内の4市町村、厚木、鎌倉、箱根、清川の各市町村におきましては財政的支援が受けられず、事務量のみが増大する結果となりました。 そこで、知事に伺います。 第2次一括法施行に伴います権限移譲によって、基礎自治体の事務量が増大することに対して、国にも財政的支援を講ずるよう引き続き働きかけていくとともに、本県としても不交付団体に対して、これまで県が措置してきた移譲事務交付金に相当する何らかの支援を講ずるべきと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、都市緑地法の一部改正に伴います権限移譲の課題についてです。 今回の第2次一括法の成立に伴いまして、都市緑地法の一部改正により、これまで県が行ってきた近郊緑地特別保全地区内での行為許可の事務が市に移譲されることとなり、さらに、同地区内で土地所有者から土地買い入れの申し出があった場合に、土地の買い入れも市が行うことになりました。 つまり、この土地の買い入れに対する費用については、広域的な緑地保全の観点から、国が55%の補助をし、残りの45%について、これまでは県が負担していたところ、その分を丸々市が負担することとなります。広域的な規模を有する緑地の買い入れまで基礎自治体が行うことは、規模的にも財政的にも大変困難です。 県内では、近郊緑地特別保全地区は10地区が指定されております。一括法施行前の平成23年10月に、県は鎌倉市の鎌倉地区約131ヘクタールと三浦市の小網代地区約65ヘクタールにおいて、近郊緑地特別保全地区を都市計画決定いたしました。事務移譲の対象となったのはこの2地区でありますが、小網代地区については、既に県が土地の買い入れを行っております。一方、鎌倉地区においては、県から、法改正後のため、近郊緑地特別保全地区の許可権者である鎌倉市が土地を買い入れるべきとの見解が示されております。 しかし、この特別保全地区はもともと保全効果が高い枢要な区域として都道府県知事が指定するものでございます。首都圏近郊緑地保全法第17条の1項には、近郊緑地保全区域の保全に要する費用は都県の負担とするとも定められておりますし、都市緑地法の改正におきましても第17条の2項には、県が買い入れ先となることを希望できるという旨が書かれております。県が指定をし、県が主体的に保全すべきとされているこの近郊緑地の土地の買い入れを市が行うことは、こうした法律や指定の趣旨にそぐわないと考えます。 そこで、知事に伺います。 首都圏の貴重な緑地の保全は広域行政のかなめではないでしょうか。首都圏近郊緑地保全法や、また地域主権実現のための基本方針の中に、連坦する自然環境や広域的な環境の保全という趣旨が入っておりますので、ぜひ県が2地区の近郊緑地保全地区の指定を行った経過を踏まえて、広域行政の責任と役割を果たす観点から積極的に土地を買い入れていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 早稲田議員のご質問にお答えしてまいります。 基礎自治体への権限移譲における課題についてお尋ねがありました。 まず、地方交付税不交付団体に対する支援についてであります。 地域主権改革に向けて、市町村への権限移譲を進めることを目的とした、いわゆる第2次一括法が本年4月から施行され、例えば市町村内の字名の廃止を告示することや、商店街の整備計画を認定することなど、47の法律にわたる事務が県の事務から市町村の事務とされました。 この事務移譲に伴い、新たに事務を行う市町村に確実に財源措置がなされるよう、本県は一昨年来、全国知事会や九都県市首脳会議、さらに神奈川県地方分権改革推進会議を通じて国に要望してまいりました。 こうした中、国は、今回の県から市町村への事務移譲に伴う財源措置を地方交付税によるものにいたしました。したがって、地方交付税の不交付団体である一部の市町村は、地方交付税が交付されないため、実質的な収入増にはつながりません。 一方で、県は地方交付税が減額されます。結果として、県はみずからの交付税を市町村に回した形となっております。こうしたことから、第2次一括法に伴い、新たに市町村が担うことになった事務について、県が市町村に対し、独自に財政的な支援を行うことは困難であります。県は、法律に基づく権限移譲の財源は国の責任で対応すべきものと考えておりますので、引き続き市町村と連携しながら、移譲事務に見合う財源措置を国に求めてまいります。 次に、都市緑地法の一部改正に伴う権限移譲の課題についてお尋ねがありました。 鎌倉地区の近郊緑地特別保全地区につきましては、平成22年11月に市から県に出された申し出に基づき、平成23年10月に県が指定したものであります。 特別保全地区内では、開発行為などは許可制となっています。緑地の保全に著しい支障を及ぼす行為は許可されません。しかし、自治体が許可しなかった場合、土地所有者から買い入れ請求があれば自治体側に買い入れ義務が発生いたします。 これまでは、県または政令市が指定、行為許可、買い入れ、この三つの事務を担ってまいりましたが、第2次一括法の施行により、本年4月からは行為許可と買い入れが市に移譲され、地方財政措置も講じられております。これは、地域の自主性と自立性を高めることを目的としたものと考えております。法では、県が希望すれば買い入れることも可能とされていますが、現時点でこの地区を県が買い入れる予定はありません。 もう一つの特別保全地区である三浦市の小網代地区につきましては、法が定める買い入れ主体として、県が平成21年度までに買い入れたものであります。鎌倉市の希少な緑地の保全を図る制度といたしましては、県が指定、行為許可、買い入れを行う古都保存法による歴史的風土保存地区制度もございます。この制度により、県はこれまで574ヘクタールを指定し、193億円を投じて161ヘクタールの緑地を買い入れてまいりました。 したがいまして、お尋ねの特別保全地区については、鎌倉市に役割を担っていただき、県といたしましては、古都保存法に基づく買い入れの役割を引き続き担い、世界遺産武家の古都・鎌倉にふさわしい緑地の保全を市と協力しながら進めてまいります。 答弁は以上です。〔早稲田夕季議員発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 早稲田夕季さん。
◆早稲田夕季議員 知事よりご答弁をいただきました。 大変、私もご答弁を残念な思いで聞かせていただきました。と申しますのは、不交付団体といえども、それは言うまでもなく、大変財源が厳しい中で、基準財政需要額というところで、本当に少しのところで不交付団体のままになっているというところが多いわけで、ちょっと何かが起これば、もう一転して交付団体になってしまうというような状況をみんな頑張っておりまして、職員の給与の削減、議員の定数はもとより、議員歳費も削減をしているところもございます。 そうした中でございますので、不交付団体がインセンティブを何も与えられないというのは、何かもうメリットがなくなってくるということにもなりかねませんので、知事はそうしたようなご答弁でございましたけれども、やはりインセンティブを少しでも与えていただくように、例えば人員的な支援ということも今後考えることはできるのではないかと思っております。 本県は市町村にこれまで1,132事務という権限を移譲してまいりまして、これについての移譲事務交付金の削減効果は約8億円と仄聞をしております。さらに、県のほうでもいろいろ人員の削減もしていらっしゃると思いますけれども、それ以上の率で市町村は削減をしておりますので、新たな事務がふえて、まだふなれな部分があると思いますので、そうしたところにはぜひ人員的な、期間を定めてでも結構ですけれども、支援をしていただいて、移譲事務が速やかになるような工夫をしていただきたいと要望させていただきます。 さらに、都市緑地の関係でございますが、もちろん国が法改正をしたのだからしようがないでしょうというようなことだと思いますけれども、それでもまだ県が買い入れる希望をすることができるということもございます。 それからまた、土地の買い入れは許可事務と一体不可分だから、市がやることになりますよということですが、この許可行為というのは、定められた基準に合っているかどうかを確認しているのにすぎません。その前提にある、神奈川県がこれを広域的な枢要な緑地保全の地区として、もちろん市からの要望があってのことですけれども、それでも神奈川県がそのように判断して保全区域として指定をしていただいたわけです。ですから、その指定権者の県の責任というのが全くないのかということを私は非常に残念に思うわけでございます。 そうしたところで、法改正が行われたのだから、市町村の責任でやってくださいと言われましても、本当に100ヘクタール以上の広大なところをこれからほかの市も、それでは保全していこうという気になるでしょうか。 確かに、古都法のお話もございました。しかし、古都法というのは、もちろん国庫補助をいただいておりまして、この国庫補助の部分が大きいわけですから、県の補助というよりは、ほとんどが国からの補助で保全をしていただいております。 そうしますと、近郊緑地というのは、今まで県が買い入れを担っていただいていたからこそ守れた枢要な地区だと私は思っております。これは世界遺産登録についても、古都法と同様にバッファゾーンの一部も占める地域も含まれておりますので、ぜひ何らかの支援を、まだこれからもございますし、他市もこれでは買い入れをちゅうちょするために、指定を県のほうにもう頼まないということにもなりかねませんので、ぜひ何らかの支援をもう一度再検討していただけないか、質問させていただきます。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 早稲田議員のご質問の件については、担当の局長から答弁させます。〔
環境農政局長(中島正信)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 中島
環境農政局長。
◎
環境農政局長(中島正信) 再質問にお答えさせていただきます。 今回の都市緑地法の一部改正に基づきまして、財源措置というのは市にされておりますし、その権限というのが明確に法律の中に位置づけられている、こういう状況でございますから、それをまた県が今、目的としてこの土地を利用する予定がございませんので、県のほうで判断をして買うということは今のところ考えておりません。 財源措置という面では、先ほど知事から答弁をいたしましたとおり、これは本来、法に基づくものですので、国に対してしっかりと実質的な措置を講じてもらう、そのようなことを要望していくというのが筋であろうと、このように考えております。 以上でございます。〔早稲田夕季議員発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 早稲田夕季さん。
◆早稲田夕季議員 ただいま局長からご答弁いただきましたが、私は納得できるものではございません。 国の補助率の増をお願いするとか、これはやはり別次元の話でございます。今、議論をしているのは、国ではなく、従前から地方が負担していた部分についてのお話をさせていただいているのでございますので、やはりそこには指定主体ということで県があるわけですから、市だけに押しつける形ではなく、一緒に今後どのような支援ができるかということを、もう少し親身になって考えていただけないでしょうかというお話で質問させていただいておりますので、もう一度ご答弁いただきたいと思います。〔
環境農政局長(中島正信)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 中島
環境農政局長。
◎
環境農政局長(中島正信) お答えいたします。 ただいま私のほうで答弁いたしました国に対しての財政措置と申し上げますのは、国庫補助の問題ではございません。地方が一般財源として措置をしているものを交付税措置という形で財政措置をしている、そのやり方が実質的には不交付団体を初め、十分な措置がされていない、この措置をしっかりと実質的な形でやっていくということを国に対して要望していくのが筋であろうと、このような趣旨で答弁させていただきました。 以上でございます。〔早稲田夕季議員発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 早稲田夕季さん。〔早稲田夕季議員登壇〕
◆早稲田夕季議員 それでは、質問の第3に移らせていただきます。 質問の第3は、「武家の古都・鎌倉」の世界遺産登録についてであります。 本年1月に、武家の古都・鎌倉が国からユネスコへ世界遺産登録の正式な推薦書が提出されましたことを受けまして、諮問機関であるイコモスによる現地調査が9月24日から控えております。 平成4年に、古都・鎌倉の寺院・寺社ほかとしてユネスコの世界文化遺産暫定リストへ掲載されてから20年の月日がたちました。私は鎌倉市議会議員を務めてさせていただきました6年間、候補遺産の周囲であるバッファゾーンの景観計画の策定や、宅地の乱開発を防ぐための抜本的な条例改正など、市民の皆様とともに力を注いでまいりました。ようやくここに来て、7合目に来たという実感をしておりますが、これからさらに、鎌倉市と横浜市、逗子市、そして神奈川県、この4県市のさらなる連携体制の推進が求められていると思います。平成25年の登録を目指して、県と市の連携という観点から、2点質問させていただきます。 まず、ガイダンス施設設置についての支援でございます。 現在、鎌倉市は世界遺産を紹介する施設として、ガイダンス施設を、東京都の財団から寄附を受けることになりました土地に開設する方針で定めております。しかし、もともと鎌倉市は後期実施計画のほうでは、鎌倉市立御成小学校の旧講堂を改築してガイダンス施設に活用することが定められておりまして、突然の方針転換に疑問の声も上がっております。駅からの利便性が高い、そして誰もが気軽に使えるこの御成小学校旧講堂を登録有形文化財に登録し、ガイダンス施設として改修することが私は望ましいと考えておりますが、ここでは私見を述べさせていただくにとどめておきます。 ところで、先ほど申しました9月24日からのイコモスの現地調査が行われまして、来年5月にはこのイコモスの勧告が出て、そして夏頃にはユネスコのいよいよ審査という運びでございます。世界遺産の審査の傾向として、遺産の保全体制が重視されていることから、遺産の保全・管理拠点となるガイダンス施設の設置が大変重要となってまいります。 石見銀山や平泉においては、県がガイダンス施設設置についての助成をするなど、主導的な役割を担ってきたものと承知しておりますが、本県としても積極的に施設の設置についても支援をし、国に対しても働きかけを行うべきと考えます。 そこで、教育長に伺います。 ガイダンス施設の設置について、県がどのような主導的な役割を果たし、そして、国への働きかけもしていくのか、所見を伺います。 最後の質問は、世界遺産登録にふさわしいまちづくりについてです。 現在、4県市で世界遺産登録に向けて連携した取り組みを進めていますが、今後、より一層の連携強化が望まれます。世界遺産登録はゴールではなく、新たなまちづくりのスタートです。鎌倉は人口17万人のところに1,800万人もの観光客が訪れるまちです。混雑や交通渋滞、宿泊施設の不足などが課題となっています。このような課題に県と市が連携して取り組むことによって、新たな観光戦略も生まれてくるものと思われます。 知事の言われるマグネットに鎌倉を大いに活用し、逗子市、横浜市とも連携した新たな武家の古都観光ルートなどを整備するなど、県全体で効果を実感できる世界遺産登録にふさわしいまちづくりを推進していくべきです。 特に、史跡と史跡を結ぶ県道はどこも歩道も車道も狭く、これからは歩道の改良や拡幅、無電柱化の実施、さらに長年の懸案でありますパークアンドライドを促進する必要があると考えます。鎌倉市においても、安心して皆様が散策できるまちづくりのために、世界遺産に向けたまちづくりの検討委員会も立ち上げ、課題を整理した上で、国・県に対して働きかけを行う準備をまさに今進めております。 そこで、知事に伺います。 武家の古都・鎌倉にふさわしいまちづくりに向けて、まずは魅力ある道づくりを県と市と協働で、協力体制のもとで進めていただきたいと考えますが、知事の所見を伺います。 以上です。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 武家の古都・鎌倉の世界遺産登録に関連して、道づくりについてお尋ねがありました。 古都・鎌倉の道づくりについては、歴史的な景観にも配慮しながら進めていくことが重要であると認識しています。そのため、県では、古都・鎌倉のシンボルである県道横浜鎌倉の若宮大路において、電線の地中化や幅の広い歩道の整備を行い、松並木の復元を目指したクロマツの植樹などを進めています。国道134号の材木座では、防護柵の更新時にあわせて、市の景観計画に基づいた色彩のものに変更するなど、景観に配慮しながら道づくりを行っております。 また、市内中心部へ流入する車両の抑制を図るため、県が管理する由比ヶ浜地下駐車場を活用したパークアンドライドにも市と協力しながら取り組んでいます。 このように県が管理する道路については、県が主体になって市と連携を図りながら道づくりを進めているところであります。 一方、この地域の道づくりに取り組んでいく上で、特に道路の拡幅を行う場合には、沿道に家屋が建ち並んでいることに加え、史跡や歴史的建造物が多いこと、自然環境の保全への配慮が必要なことなど、この地域特有の課題があります。このため、県といたしましては、世界遺産登録を見据えた武家の古都・鎌倉にふさわしい道づくりについて、今後、市としっかり議論を深めるとともに、地元調整については市の協力をいただいた上で、必要な取り組みを進めてまいります。 私からの答弁は以上です。〔教育長(藤井良一)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 藤井教育長。
◎教育長(藤井良一) 教育関係についてお答えいたします。 世界遺産のガイダンス施設についてお尋ねがございました。 ガイダンス施設は武家の古都・鎌倉の世界遺産を総合的に学習し、その価値や魅力を理解していただく上で大変重要な施設であると認識しております。近年、世界遺産に登録された平泉や石見銀山では、世界遺産を紹介する中心的な施設となっております。 武家の古都・鎌倉のガイダンス施設は、鎌倉市が一般財団法人から土地や建物、施設整備費の寄附を受けて既存の建物を改修し、整備することになっております。このガイダンス施設は武家の古都・鎌倉の総合的な学習や情報発信、出土品の展示などの機能を備えた施設として、世界遺産登録後の平成27年度の開設が予定されております。 県としては、こうした鎌倉市の取り組みに対し、展示の企画や収蔵設備の仕様、さまざまな普及・啓発のメニューづくりなど、県が持っているノウハウや知識を生かした指導・助言などの支援を行ってまいります。 また、現在の国の補助制度は、一つの史跡を紹介するガイダンス施設が対象となっており、武家の古都・鎌倉のように複数の史跡をまとめて紹介するガイダンス施設は対象となりませんので、特例として国の補助を受けることができるよう、市と連携して国と折衝するなど、積極的に支援してまいります。 以上でございます。〔早稲田夕季議員発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 早稲田夕季さん。
◆早稲田夕季議員 知事並びに教育長よりご答弁をいただきました。 先にガイダンス施設についてでございますが、教育長から、しっかりと特例として、史跡並びに文化財の公開活用の補助を国に働きかけていくというご答弁をいただき、大変私も期待をさせていただきます。 しかしながら、これはもともと一つの史跡についてということですので、難しい側面もあるかと思いますが、教育局だけではなく、ぜひ知事部局も含めて県全体で支援をしていただく、財政的支援も含めてお考えをいただきたいと私は思っております。 石見銀山におきましては12億円でガイダンス施設を設置いたしましたが、この8億円については県が起債をしておりますし、平泉については施設を改修してつくりましたので約2億円でございますが、これの半分をやはり県のほうで補助をしております。こうしたこともいろいろお考えをいただきながら、県全体としてのバックアップもさらに進めていただきますよう要望させていただきます。 さらに、再質問でございますが、先ほどのまちづくりについてですが、確かに県道の若宮大路、こちらのほうは電線の地中化もしてありまして、本当に鎌倉で唯一と言っていいほど歩道の広いところとなりました。しかし、これも大分前の話でございまして、鎌倉市の中で唯一歩きやすいところがここだけということになっておりますので、現在、非常に問題となっておりますのは、八幡宮前に県道の横浜鎌倉線、そして金沢鎌倉線、そして若宮大路が集中をしております。ここは人と車がすべて集中している地域でございます。 先週の新聞報道によりますと、ここの歩道を青信号で待っている方が渡り切れない等々、そして歩きにくい歩道ということでも大変問題が提起される報道がございました。こうしたことを、やはりまちづくりの主体は市だからということ、それからまた、県道は県だから、それから信号の問題は県警察であるからということで、縦割りでやっていきますと、これは何十年たっても百年たっても、なかなか改善がされない、非常に複雑に絡み合った問題でございます。ぜひそこのところは、今も4県市で取り組んでいただいておりますので、さらに世界遺産の登録を目指すこの時期を契機といたしまして、県と市で協議をする、この道づくりの協議をする場を持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 今のご質問については
県土整備局長からお答えさせていただきます。〔
県土整備局長(高村栄二)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 高村
県土整備局長。
◎
県土整備局長(高村栄二) 再質問に対してお答えさせていただきます。 鎌倉市と県の協議の場はいろいろな場がございますので、そうした中で、まちづくりについて、それから道路のあり方について検討していく場を、今後、必要であれば設けていきたいというふうに思いますし、我々といたしましても、道路の拡幅については以前から取り組んでいるわけですけれども、なかなか史跡に隣接して道路があって、道路の拡幅が難しいと、こういうふうな状況もありますし、道路の中に電線を入れるということについても、道路の拡幅ができないとできないわけでございますので、そうしたことを含めて、今後どういったやり方がいいのか、市とも十分に意見交換をした上で必要な対応をとってまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。〔早稲田夕季議員発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 早稲田夕季さん。
◆早稲田夕季議員 ただいまご答弁をいただきまして、必要があれば協議の場ということですし、今もいろいろな場面で協議をしているからというお答えだったかと思います。必要はとにかくございまして、拡幅だけが県道のお話ではありません。確かに拡幅は家が張りついておりますので、非常に難しい問題だということは私も十分承知をしております。しかしながら、せめて狭い歩道であっても、そこが波打って、歩いていても、お年寄りなどは転んでしまうというような状況が、この1,800万人いらっしゃる鎌倉の県道の歩道で起こっているわけです。 しかも、ここ近年で、三、四年の間だったと思いますけれども、県道の横浜鎌倉線におきまして、歩道を歩いている方が、歩道を歩いているにもかかわらず、後ろから来たトラックのミラーにぶつかって亡くなりました。それからまた、歩道を走っていたと思われる自転車も大型バスに……、歩道を走っていたかどうかわからないのですけれども、とにかく車道も狭いものですから、そこを走っていた自転車がバスに少し巻き込まれた形で亡くなったという事故が2回続いたわけでございます。 そうしたこと、大変、一遍にはできない問題ではありますけれども、できることから県もご協力をいただくために、ぜひ市から要請がありましたら、これまでいろいろつくっていただいている協議の場とはまた別に、この世界遺産のまちづくりということ、道づくりということで協議をしていただく場を設けていただきたいということを要望させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。〔拍 手〕
△《本会議録-平成24年第3回-20120920-027215-質問・答弁-斉藤たかみ議員-一般質問①県費負担教職員制度に関する政令指定都市との関係について②商店街の振興施策について③がけ崩れ対策について④若年層のデジタルコンテンツに係る消費者被害未然防止について⑤本県における犯罪抑止対策について》 〔斉藤たかみ議員発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 斉藤たかみ君。〔斉藤たかみ議員登壇〕(拍手)〔副議長退席、議長着席〕
◆斉藤たかみ議員 みんなの党の斉藤たかみでございます。 議長のお許しをいただきましたので、私はみんなの党神奈川県議会議員団の一員として、通告に従い、提言を交えながら順次質問をさせていただきます。 知事並びに警察本部長、そして県民局長におかれましては明快なご答弁をよろしくお願いをいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いをいたします。 では、質問に入ります。 質問の第1は、県費負担教職員制度に関する政令指定都市との関係についてでございます。 初めに、人事権と給与負担者が異なる、いわゆるねじれの状態について伺います。 現在、市町村立の小中学校と特別支援学校の教職員について、その給与は、政令指定都市の教職員の分も含めて県が負担しており、県費負担教職員と呼ばれております。一方、この県費負担教職員の任命権は、一般市町村においては、給与負担と同様に県が有しておりますけれども、政令指定都市においては、特例として、県ではなく政令指定都市が有しております。このため、政令指定都市の教職員については、任命権者と給与負担者が異なるという、いわゆるねじれの状態にあります。 本県においては、横浜市、川崎市、相模原市と政令指定都市を三つも抱えており、県費負担教職員の約6割がこのねじれの状態にあり、積極的にこの問題を考えなくてはならない立場にあると考えます。 県議会の議事録を拝見してみますと、この問題については、本県においても昭和55年の自民党、新堀豊彦議員の質問を皮切りに、党派を超え、幾度となく取り上げられてまいりました。この新堀議員の質問は、国と県との税制のあり方について、義務教育費国庫負担金制度を例に取り上げられたものでありました。しかし、具体的な方向性は一切示されませんでした。 その後、長らくこの問題は本会議では取り上げられなくなりますが、平成6年から徐々に具体性を帯びていくこととなります。この平成6年の段階では、任命権者と給与負担者を一致させることに政令指定都市サイドからは大きな反発があり、決して県と政令市とのコンセンサスがとれているとは言えない状態でありました。しかし、平成13年から14年頃からは国の分権改革に追随するかのように、県と政令市がねじれを解消するという同じ見解を持ち、積極的に国に働きかけているのが見て取れます。 国においても、平成14年6月の地方分権改革推進会議中間報告の中で、直ちに検討・措置すべき課題として取り上げられ、翌年6月の閣議決定で、県と政令市間の県費負担教職員制度の見直しについては、関係道府県及び政令市等各関係方面の理解を得つつ、平成15年度内に意見を集約し、その結果を踏まえ、実現を図るということとされましたが、それ以降、見直しの方向は示されておりません。 その後、平成22年6月に閣議決定された地域主権戦略大綱においても、ねじれ状態の見直しは示されませんでした。ねじれ状態とは、県は政令指定都市に対して、給与を負担しているにもかかわらず人事権を行使することができないということであり、簡単に言ってしまえば、お金は出すが口は出せないということになります。 私は、地方分権の観点からも、このねじれの状態は速やかに解消されるべきと考えております。これまで本県では、国が動き出した平成14年から毎年、ねじれ状態の解消について要望を行ってきたようでございますが、とりわけ、私が印象深く思うところは、前知事が、この問題については深く関わっていたということであり、平成22年5月には当時の文部科学副大臣に面会し、直接要望書を手渡され、給与負担を財源とともに県から政令市に移譲する認識で一致し、県、文科省で具体的な移譲方法を共同研究していくことで合意をするまでに至りました。しかし、その後、その共同研究が進展したという話は聞いておりません。 この問題の解決は、地域の実情に合った教育施策を行えるばかりではなく、地方分権における多様な地方税財政制度のあり方を示す可能性もあり、道州制など、国のあり方自体も真剣に考えさせられる契機となり得ると考えます。 このような非常に大きな問題でございますので、その解消にはトップである知事の熱い思いというものが何よりも必要であると考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 この県費負担教職員制度に関する政令指定都市とのいわゆるねじれの問題について、どのようにお考えなのか、知事のご所見をお伺いいたします。 次に、ねじれ状態の解消についての取り組みについて伺います。 この問題を解決するためには、政令指定都市が新たに給与を負担することが必要でありますが、そもそも現行の県費負担教職員制度について、関係道府県や政令指定都市がどのように考えているのか調べてみました。 平成16年5月25日に中央教育審議会教育条件整備に関する作業部会より、中央教育審議会義務教育特別部会(第31回・第32回)にて配付された資料を参照してみますと、関係道府県サイド、政令指定都市サイドからも、制度を見直すべきという声が大多数を占めておりました。しかし、それにはしっかりとした財源措置や準備期間が必要であるということでありました。 本会議での質疑や他自治体の反応に目を向けてみますと、先ほども申しましたとおり、平成6年に当時の本県の教育長がねじれの解消について本会議で答弁した際には、政令指定都市側は、賛同しがたい、とんでもない話などと大きく反発したこともありました。 しかし、その後、三位一体の改革の流れに沿った形で、徐々に互いのコンセンサスがとれるようになり、相模原市が政令指定都市に移行する直前の平成22年3月2日には、横浜市と川崎市は本県との連名で、総務大臣や文部科学大臣等に政令指定都市に係る県費負担教職員制度の見直しに対する要望書を提出するまでに至りました。 加えて、同年3月24日には神奈川県議会として国に対し政令指定都市に係る県費負担教職員制度等の見直しを求める意見書を実際に提出しております。 また、指定都市市長会による文部科学省への要望においても、毎年、ねじれ問題の解決を要望しており、給与費負担、学級編制基準、教職員定数の設定権限等を政令指定都市に移譲すべきという基本的な考えは、今や政令指定都市も県と同じであると考えます。 しかしながら、県から政令市への給与負担の財源等を具体的にどのように移譲するかなど、一朝一夕には決定できない非常に難しい問題もあり、なかなか事態は進展していないことと承知をしております。 県費負担教職員制度に関するねじれの問題についての本会議や常任委員会での質疑を見てみますと、最終的な答弁ではいつも、粘り強く国に働きかけてまいりますというのが決まり文句となっており、一向にこの問題の解決が進んでいないと見受けられます。 このような状況の中で、私としましては具体的な財源等の移譲方法などを地方の側から国に提示するなどし、県が政令指定都市と今まで以上に連携して国を動かすような新たな仕組みを構築しなければならないと考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 先ごろ開催された神奈川の教育を考える調査会、いわゆる教育臨調において、このねじれ問題についても、今後議論されていくこととなりましたが、このねじれ問題を解決するに当たり、県としてどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第2は、商店街の振興施策についてでございます。 商店街とは、いわばそのまちの顔とも言え、知事の提唱するマグネットを形成する上で大変重要な要素の一つであると考えます。しかし、先日、我が会派の行った県内各種団体との意見交換会において、商店街の方々から最近の状況をお聞きしたところ、長年にわたる不景気の影響やインターネットの急速な普及等により、大変厳しい環境にあるということを強く訴えておられました。 加えて、消費税増税の影響を心配されておられる方がたくさんいらっしゃいました。今回の消費税増税は低所得者対策については議論されているものの、所得税等の減税措置はなく、100%国民の負担となる増税であることは周知の事実でありますが、特に事業主にとっては物品の仕入れ等に係る経費も純粋な負担になることから、今後もさらに厳しい環境が続くことが予想されます。 県内の商業の状況は、経済産業省の商業統計調査の小売業について平成16年と平成19年の調査を比較してみますと、販売額は増加しておりますが、一方で店舗数、従業者数は引き続き減少しており、このことから、店舗の大型化、小規模店舗の淘汰が進んでいることが推測されます。 また、県内の商店街の多くが加盟している商連かながわの加盟商店街数と加盟店舗数を伺ったところ、平成22年は701商店街、約2万8,000店舗でありましたが、平成23年には690商店街、約2万7,000店舗と大幅に減っているとのことでした。さらに、同団体実施の商店街実態調査報告書のデータでは、平成22年度には空き店舗のある商店街の割合は62.2%、平成23年度には59.8%と若干改善が見られますが、依然として空き店舗のある商店街は多い状況であり、データ上も商店街の厳しい現実がうかがえます。 このような中、これまでの商店街振興に関する本県の主な取り組みといたしましては、商店街の活性化を図ることを目的として、平成20年4月から「神奈川県商店街活性化条例」が施行され、大型店やチェーン店も含め、商店街で活動するすべての事業者に対して商店街活動への積極的な参加や協力を促してきていることは承知しております。 この条例が制定されたことにより、大型店等の商店街への協力が得やすくなるなど、商店街活性化の機運を高めるために一定の効果はあったことと思いますが、その効果をしっかりと検証し、県内商店街の衰退防止はもちろんのこと、今後は人を引きつけるための具体的な取り組みを支援していくことも重要であると考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 県としても、条例の趣旨に沿い、商店街の活性化を図るため、さまざまな支援に努めていると考えますが、これまで具体的にどのように取り組んでこられたのか、また、今後さらにどのように取り組んでいかれるのか、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第3は、がけ崩れ対策についてでございます。 昨年9月に発生した台風12号では、紀伊半島において5日間で1,800ミリという、年間降水量の約3分の2に匹敵する記録的な豪雨を観測、特に奈良県、和歌山県では、戦後最大と言われる大規模な土砂災害が発生いたしました。 一方、予測不可能な局地的な大雨、いわゆるゲリラ豪雨による災害も、7月の新潟、福島での災害を初め、各地で多発し、台風12号などによるものを含めた土砂災害では、全国で土石流や地滑り、崖崩れが約1,400件も発生し、これにより72名の方がお亡くなりになり、400戸以上もの人家に被害があったと聞いており、昨年は災害の頻発した年でありました。 亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々には心よりお見舞いを申し上げます。また、一刻も早い被災地の復旧・復興を願うものであります。 今年に入っても、7月の九州北部を中心とした豪雨災害では、死者、行方不明者が23名と、近年の気象状況等を見ると、大きな災害はいつ起こるかわからない状況にあると考えます。 本県を見てみますと、県東部の川崎市、横浜市、横須賀市を中心とする丘陵地には、急傾斜地の周辺に多くの住宅が密集し、崖崩れの発生するおそれのある箇所が多いと承知をしております。 私の地元、川崎市高津区の末長地区では、平成20年の8月に、高さ13メートルの崖が崩れ、およそ100立方メートルもの土砂が崩壊いたしました。幸い、人的被害には至りませんでしたが、崖下の住居のフェンスを損傷したという被害報告を聞いております。 言うまでもなく、崖崩れは突発的に発生し、規模は小さくても、人命や家屋への影響が大きいものであります。高津区末長の崩壊した現場は、その後、県の急傾斜地崩壊対策事業により対策施設の整備が行われたことは承知をしておりますが、県内にはいまだ整備されていない箇所が多く残っていると感じております。 崖崩れは、大雨が原因で発生することが多いと考えますが、地震により発生することも想定されます。大雨と違い、地震は事前に予測し避難することが困難であり、そういった点からも、崖崩れ対策が急務であると考えております。 崖崩れから県民の生命・財産を守るためには、まずハード面として対策施設の整備が重要であると考えます。しかし、施設の整備には、多額の費用と長い時間を必要とし、整備が完了していない現在、ハード対策だけではなく、警戒避難体制の整備等、ソフト対策もまた重要であると考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 今後、本県においては、崖崩れ対策について、ハード・ソフト両面でどのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第4は、若年層のデジタルコンテンツに係る消費者被害未然防止についてでございます。 平成23年度の県内の消費生活相談窓口に寄せられた苦情相談件数は約6万3,000件で、その第1位は、携帯電話、パソコン等からインターネットを通じて得られる情報、いわゆるデジタルコンテンツに関する相談で、年間約1万1,000件にも上り、特に20歳未満の苦情相談の約7割がデジタルコンテンツに係る相談ということであります。 具体的な相談としましては、パソコンなどで交流サイトから、悪質な出会い系サイトに導かれ、高額な利用料を請求されたものや、情報サイトを閲覧中、料金を請求するメッセージが表示されるが、支払いが必要なのかなどの相談であると伺っております。 携帯電話やパソコンは、私たちの生活に欠かすことができないものとなっており、デジタルコンテンツに係る消費者被害未然防止は非常に重要な課題であると考えます。 最近では、携帯電話とパソコンの機能をあわせ持つスマートフォンが急速に普及し、利用者も大幅に増加しており、中・高校生にも多く利用者がいる状況にあります。スマートフォンは、豊富なアプリケーションから、利用者のニーズに合わせたアプリをダウンロードすることができる点が特徴で、アプリの中には、仲間同士で通話やメッセージの交換が無料で行える無料通話アプリもあり、利便性が高く、若年層を中心として、今後も利用が大きく拡大するものと考えられます。 しかしながら、スマートフォンやアプリは、多様な機能や利便性が強調されるばかりで、その問題点や危険性については、余り認識されていないのではないかと感じております。 例えば、若年層に人気の無料通話アプリの中には、利用規約に同意すると、利用者のスマートフォンにある全電話帳データが、アプリ開発事業者のサーバに送信されてしまうものもあります。このような場合に、個人情報が悪用され、被害を受けてしまうこともあるので、こうした問題点も十分に理解する必要があると考えます。 県では、これまでもデジタルコンテンツに関する被害未然防止に向け、さまざまな機会や媒体を通じ、若年層への普及・啓発に努めてきたことは承知をしておりますが、スマートフォンなど、新たな情報機器に関連する消費者被害未然防止に係る情報提供について、一層の充実が必要であると考えます。 そこで、県民局長にお伺いいたします。 今後、スマートフォンなど新たな情報機器の普及を捉えて、若年層のデジタルコンテンツに関する消費者被害未然防止について、普及・啓発にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 質問の最後は、本県における犯罪抑止対策についてでございます。 平成23年度に県が実施した県民ニーズ調査では、県行政で力を入れて取り組んでほしい分野として、治安対策との回答が3年連続して第1位となっております。また、私の地元である川崎市高津区が3年に1度行っている区民生活に関わるニーズ調査では、駅周辺の放置自転車の問題が非常に深刻ではあるものの、その問題を解決する以上に街頭犯罪の防止に力を入れてほしいという声が最も多く、犯罪抑止対策に対する要望は依然として強いものがあると考えます。 県警察では、平成14年に刑法犯認知件数が過去最高である約19万件に達したことを受け、平成15年より、街頭犯罪等を抑止するための部門横断的な体制を整備し、これまで各種犯罪抑止対策を強力に推進してきたことは承知をしております。その結果、昨年の刑法犯認知件数は8万件台まで減少したところではありますが、県民の身近なところでは、ひったくりや空き巣など、県民の不安感を増大させる犯罪が依然として数多く発生しております。 県警察が指定する街頭犯罪10罪種の認知件数に目を向けてみますと、昨年の8月末までと比較し、10種のうち8種は減少傾向ではあるものの、路上強盗に関しましては9.2%増、強制わいせつにつきましては27.0%増と、とりわけ本年は強制わいせつが深刻な問題であるということがデータから見てとれます。 また、先日も広島市や名古屋市で女児が連れ去られたり、監禁されたりという、まさに信じられないような事件が相次いでおり、本県においても人ごとでは決してなく、県民の街頭犯罪に対する不安は拭い去れない状況が今後も続くと考えられます。 県民ニーズ調査の結果や、このようなデータ等からも言えるように、今後もより一層県民の体感治安を改善するための取り組みが必要であると考えます。 そこで、警察本部長にお伺いいたします。 県民が安全で安心して暮らせる地域社会を実現するためには、犯罪の総量を抑制するばかりではなく、県民の身近なところで発生し、不安感を増大させる犯罪を抑止していくことも非常に重要だと考えますが、これまでの県警察における犯罪抑止対策と今後の取り組み方針についてお伺いいたします。 以上で、私の第1回目の質問を終了させていただきます。 ご清聴まことにありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 斉藤議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、県費負担教職員制度に関する政令指定都市との関係についてお尋ねがありました。 まず、政令指定都市とのねじれ問題に関する私の考えについてであります。 ねじれ問題とは、政令指定都市の市立の小中学校や特別支援学校の教職員について、任命権が政令指定都市にあるにもかかわらず、県が給与を支給している、すなわち県には権限がないのに負担だけをしているというものであり、どう考えてもおかしいと言わざるを得ません。 現在、義務教育においては、いじめ、暴力、不登校などの課題、子供・保護者のニーズにきめ細かく対応することが求められており、政令指定都市が地域の実情に合った学校運営を行えるようにすることは大切であります。 そこで、教職員の任命権と教職員定数及び学級編制基準の設定権、さらに給与負担とその財源については政令指定都市に一元化すべきであります。 また、義務的経費が歳出予算の8割を超えている本県の財政状況の中で、教職員の人件費は歳出予算の3割近くを占めております。このうち、政令指定都市の小中学校の教職員の人件費は4割を超えており、本県の財政構造を硬直化させる大きな要因となっております。 一方、指定都市市長会が提案している特別自治市構想においても、既に政令指定都市の事務である小中学校の設置運営や教職員の任命に加え、道府県から教職員の給与負担と学級編制、定数の設定権の移譲を求めております。 現在、道州制や大都市制度など、さまざまな議論がされておりますが、このねじれの解消については、また県も政令指定都市も異論のないところであり、私としては、この問題を全力で解決したいと考えております。 次に、政令指定都市とのねじれ問題の解決に向けた取り組みについてであります。 本県と横浜市、川崎市、相模原市の3市の間では、ねじれ問題を解決し、政令指定都市が主体的、自立的に義務教育を展開していくことについて思いは同じであります。しかしながら、ねじれ解消が進まない最大の課題は、給与負担を県から政令指定都市に移譲するに当たり、その財源をどうするかであります。 この点について、全国の指定都市市長会は、国に対して、安定的、恒久的に財源が確保できるよう、所要額全額について道府県から政令指定都市への税財源での移譲を求めております。 しかしながら、県が支払う教職員給与財源は義務教育費国庫負担金や県税に加え、地方交付税等から成り立っております。この中には、国においても地方交付税の財源が不足していることから、臨時財政対策債という、いわゆる借金もその財源に含まれています。したがって、県から財源移譲をする場合には、臨時財政対策債を含めた形で移譲する必要があります。もし、すべての財源を県税で移譲した場合、県税収入が大幅に減少することになり、それでは、県行政を到底運営していくことはできなくなります。 このようにねじれの解消は、地方税や地方交付税などの税財源の配分そのものに関わる問題であり、県と政令指定都市という地方だけでは解決できるものではありません。本来であれば、地方税財政制度を所管する国が解決に向けて取り組んでいかなければならない問題でありますが、地方が長年にわたり要望してきたにもかかわらず、これまで何ら具体的な方策は示されておりません。 私といたしましては、今後とも国に対して責任を持った対応をするよう、しっかりと要望するとともに、このたび設置いたしました神奈川の教育を考える調査会において、この問題についても大局的な視点から議論していただきたいと考えております。 その上で、県として改めて議論を深め、3政令指定都市とも協議し、ねじれ問題の解決に向け、財源を含めた移譲案を神奈川モデルとして作成の上、国へ提案し、法律改正を求めてまいります。 次に、商店街の振興施策についてお尋ねがありました。 私は、地域経済を活性化していくためには、地域に密着した商店街が人を引きつけ、元気を取り戻すことが大変重要であると考えております。こうした商店街の振興について、県ではこれまでも街路灯などの施設整備や商店街のパワーアップを図るためのアドバイザーの派遣、若手商業者の人材育成などに取り組んでまいりました。 また、平成23年度からは、商店街が自治会やNPO法人と連携して、空き店舗を活用した地域住民の交流サロンを設置するなど、地域と一体となった取り組みについても支援してきております。 今後はこうした取り組みを進めるとともに、地元だけではなく、外から人を呼び込める、わざわざ行ってみたくなる魅力ある商店街、マグネット商店街をつくっていく必要があります。 そのため、県では多くの商店街がさらに個性を発揮し、魅力を高めてもらえるよう、商店街をめぐる商店街観光ツアーを実施してまいります。ツアーでめぐっていくにふさわしいそれぞれの商店街の異なる魅力が際立つような形で、商店街の活性化を図っていきたいと考えています。つまり、商店街活性化と観光振興を同時に図っていこうという新しい取り組みであります。 そこで、こうした商店街観光ツアーに参加する意欲ある商店街を集中的に支援するため、今年度から地域商業ブランド確立総合支援事業をスタートさせました。この7月に事業計画を募集したところですが、今後、支援対象の商店街を選定し、アドバイザーを派遣するなど、計画を磨き上げ、ブランド力ある商店街づくりを支援してまいります。 こうした取り組みにより、その地域らしい商店街のモデルを創出し、成功体験を県内商店街全体で共有して、他の地域での展開につなげてまいります。 最後に、崖崩れ対策についてお尋ねがありました。 県内における近年の崖崩れの発生状況ですが、昨年度は68カ所、今年度は9月10日現在で既に56カ所に達し、このうち家屋の一部に被害が生じたものが昨年度6カ所、今年度4カ所となっています。 県内には急傾斜地工事の採択要件である崖の高さが5メートル以上、勾配が30度以上で崖崩れによる被害を受けるおそれのある人家が5戸以上の箇所が約2,500カ所あります。県はこのような箇所を対象に、急傾斜地崩壊防止施設の整備を進めてまいりましたが、平成23年度末までに約1,200カ所を整備し、約50%の整備率となっています。 一方、こうしたハード対策には長い時間と多大な費用を要することから、ソフト対策もあわせて推進しております。具体的には、土砂災害防止法に基づき、崖崩れのおそれのある箇所を県が土砂災害警戒区域に指定し、市町村がハザードマップを作成して住民に周知する取り組みを進めております。これまでに横浜市や川崎市など8市町で約4,700カ所を指定し、川崎市、横須賀市、鎌倉市では既に全域でハザードマップの作成を終えております。 今後、県といたしましては、ハード対策として、地元の方々のご協力を得ながら、市町村と連携し、厳しい財政状況ではありますが、施設整備にしっかり取り組みます。また、ソフト対策として、引き続き土砂災害警戒区域の指定に取り組み、平成27年度の県内全域での完了を目指します。そして、市町村のハザードマップが早期に作成され、警戒避難体制が整備されるよう支援してまいります。 私からの答弁は以上です。〔県民局長(武山 哲)発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 武山県民局長。
◎県民局長(武山哲) 県民局関係についてお答えいたします。 若年層のデジタルコンテンツに係る消費者被害未然防止についてお尋ねをいただきました。 若年層の苦情相談で最も件数が多いデジタルコンテンツについては、携帯電話やパソコンが普及し、誰もが消費者被害を受ける危険性があることから、学校などで広く情報を提供し、児童・生徒の理解を深め、年代に応じて必要な知識、判断力を身につけてもらうことが大切です。 そこで、県ではこれまで携帯電話とインターネットトラブルに関するDVDをそれぞれ作成しまして、小・中・高校の授業等での活用をお願いしているほか、学校に出向き、この教材を用いてインターネット被害未然防止講座を実施しております。 また、高校生の間でスマートフォンの利用が進んでいることから、高校生用の教材冊子や教員用の指導書において、本年度版から新たにスマートフォンのウイルス対策の必要性、個人情報の流出の危険性などについて注意を喚起しているところです。 さらに、教員を対象に毎年実施している消費者教育の研修において、スマートフォンやアプリケーションソフトに関する具体的なトラブル事例とその対処方法を取り上げ、学校の授業で活用できるように指導のノウハウを提供しております。 今後もスマートフォンの利用が進み、低年齢層にも急速に広がることが想定されるため、これまでの取り組みに加え、利用に際しての注意事項などをわかりやすく解説するリーフレットを作成し、小・中・高校の児童・生徒へ情報がしっかりと伝わるようにしてまいります。 さらに、実際に被害が発生し、拡大が懸念される場合には、そうした被害に関する警戒情報を教育委員会や私立学校に速やかに提供するなど、若年層のデジタルコンテンツに係る消費者被害の未然防止に努めてまいります。 私からの答弁は以上です。〔警察本部長(久我英一)発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 久我警察本部長。
◎警察本部長(久我英一) 犯罪抑止対策についてお答えをいたします。 県警察では平成14年に刑法犯認知件数が戦後最多となったことを受け、組織の総力を挙げて県民が不安を感じる路上強盗やひったくり等の街頭犯罪、空き巣や忍び込み等の侵入犯罪を重点に犯罪抑止対策を推進してまいりました。 また、昨年は県民が身近に不安を感じるひったくりや振り込め詐欺等が多発したことから、自治体を初め関係機関・団体、地域の住民やボランティアの皆様と緊密に連携し、官民一体となった抑止対策を強力に推進いたしました。 その結果、昨年は刑法犯認知件数が平成14年の19万件の約45%となる約8万6,000件となり、本年も8月末現在、約5万件で、昨年同期と比較して約12%減少しているところであります。 しかし、議員ご指摘のとおり、昨年度の県民ニーズ調査等では、県民の体感治安は改善されておらず、また本年は強制わいせつや路上強盗が増加しているほか、ひったくりや振り込め詐欺につきましても、昨年より大幅に減少しているものの、依然として高い水準で発生しております。 県民が真に安全・安心を実感し、体感治安が向上するには、地域ごとに異なる犯罪情勢や県民の具体的なニーズに即して戦略的な抑止対策を展開する必要があります。そこで、県警察では9月10日付で警務部内に部門横断的に抑止対策の調整を行う犯罪抑止戦略室を設置するとともに、新たに理事官を警察本部犯罪抑止戦略官に、また各警察署の副署長を警察署犯罪抑止戦略官に指名いたしました。 今後、地域の犯罪情勢や住民のニーズをきめ細かく分析した上で、各警察署ごとに重点的に抑止すべき犯罪を定めるとともに、警察本部が情報の集約、分析等の支援を行い、地域の実態に即した効果的な犯罪抑止対策を戦略的に推進してまいります。 以上でございます。〔斉藤たかみ議員発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 斉藤たかみ君。
◆斉藤たかみ議員 時間も余りございませんので、自席からの発言をお許しくださいますようお願い申し上げます。 知事並びに警察本部長、県民局長におかれましては、明快なご答弁まことにありがとうございました。特に知事におかれましては、ねじれ解消に向ける力強いコメントをありがとうございました。 ここで、数点要望をさせていただきたいと思っております。 まず、県費負担教職員制度についてでございますが、私はこの県費負担教職員制度に関する政令指定都市との関係について、各種データや議事録、また論文等を参照し、研究をさせていただきました。研究をすればするほど、この問題の解決には国の法改正でありますとか、具体的な財源等の移譲方法の提示など、さまざまな難しい問題があるということは承知をしております。 また、この問題を語る上で受け皿、先日、知事は器といった言葉を使われていましたけれども、例えば大阪都構想でありますとか、知事のおっしゃる神奈川州構想、そういったものも決まっていないのに、そんな議論をしてどうするのだ、そういった声もあることも承知しております。しかし、どういった形をとるにせよ、この教職員人件費等の議論というのは避けては通れないものとなってくると思います。 人口がふえ続けている神奈川県において、行政職員は削減されている中、教職員の数というのはふえ続けております。その支出も当然のことながら、県の支出でございます。 教育予算の削減について、先日、知事は新聞報道によりますと、メスを入れないと立て直せないが、単に削ればいい問題じゃない、神奈川臨調はスピード感でやるが、教育は性急にはいかないとおっしゃっておりましたが、私も全くそれは同感であります。 私は、昨年度所属しておりました文教常任委員会でもこの問題について取り上げさせていただきました。そのときの当局側の最終的な答弁も、粘り強く国に働きかけてまいりますというご回答でありました。やはり国の法改正が必要である以上、これはしようがないことなのですけれども、働きかけというのが平成14年から数えて約10年が経過し、目立った進展がないことを考えると、そろそろドラスティックな改革というのが必要になってくるのかなと思っております。 先ほど、開催された教育臨調では、今後、ねじれの問題も取り上げられてまいるということでございますので、ぜひとも教育臨調、来年の8月に最終報告が出されるということでありますので、私の視点や教育臨調での意見を参照しつつ、前向きにこの問題の解決にご尽力していただくよう要望をいたします。 次に、犯罪抑止対策についてご要望申し上げます。 県警察が指定する街頭犯罪10罪種の認知件数というのは、先ほど申しましたとおり、8月末と今年を比較して、路上強盗が9.2%増、強制わいせつにつきましては27.0%増であったということを言いましたけれども、今月こそ多少は減っているものの、7月末の時点では路上強盗は15.8%増でありました。強制わいせつについては36.8%も増でありました。特に強制わいせつに関しましては、劇的な状況と言わざるを得ないと私は思います。しっかりと今後も県民の体感治安を減らすために尽力していただくことを要望いたします。 最後に、若年層のデジタルコンテンツに関わる消費者被害未然防止についてご要望申し上げます。 今やスマートフォン、いわゆるスマホというのは我々にとっては当たり前の通信ツールとなっております。私も実際、使っております。実際に金銭的な詐欺を受けたという被害報告も聞いております。深刻に被害が多発しているというような状況ではございませんけれども、今後もスマートフォンの普及が拡大していくことが予想される今だからこそ、しっかりとした消費者被害未然防止に普及啓発を促していただくよう強く要望をいたしまして、私の質問を終了させていただきます。 まことにありがとうございました。
○議長(竹内英明) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(竹内英明) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は20分後といたします。 午後2時41分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-平成24年第3回-20120920-027216-質問・答弁-髙橋稔議員-一般質問①県庁周辺の県有施設の見直しについて②再生可能エネルギー普及促進のための税制措置について③重度障害者医療費助成の精神障害者への拡大について④県立病院の今後の展開について⑤市民後見人の養成について⑥高齢者の住宅対策について⑦犯罪被害者等の支援の充実について⑧高齢運転者の運転免許自主返納について》 午後3時2分 再開 〔
議会局長報告〕 出席議員 議長共78名
○議長(竹内英明) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 ───────────────────────────────────────
○議長(竹内英明) あらかじめ時間の延長をいたします。 ───────────────────────────────────────
○議長(竹内英明) 質問を続行いたします。 髙橋稔君。〔髙橋 稔議員登壇〕(拍手)
◆髙橋稔議員 私は公明党県議団の一員として、通告に従い、順次質問をいたします。 質問の前に一言申しあげます。 今日、各地方自治体が直面する課題解決のためには、中央集権的な統治機構から地域主権型道州制への移行が必要不可欠との認識を強くしておりますとともに、振り返ることおよそ220年前に、愛と信頼を基本に民を富ますべきとの姿勢で米沢藩の経営改革を貫いた上杉鷹山に思いをはせつつ質問をいたします。 知事、警察本部長及び
保健福祉局長におかれましては、明快なご答弁をお願いいたします。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 まず、初めの質問は、県庁周辺の県有施設の見直しについてであります。 県有施設の見直しについては、原則全廃という神奈川臨調の厳しい意見を踏まえ、県ではゼロベースでの徹底した見直しを行うとしております。一方、県では、今月7日、神奈川県のあり方に関し、神奈川州(仮称)構想(案)を公表いたしました。この構想によれば、本県のエリアにおいて、新たな特区制度を活用して、国からの権限移譲を実現し、住民に身近な事務は県から市町村に権限移譲することとしており、国、県、市町村の役割分担の見直しが提言されております。 また、横浜市も特別自治市大綱の素案を示し、県から事務・権限の移譲を受けるとともに、横浜市内の地方税をすべて市が徴収することにより、市域内の
行政サービスを横浜市が一元的に実施することを目指しております。 このように、県及び横浜市において、広域自治体と基礎自治体の役割について検討が進められている中、県有施設の見直しを初めとする緊急財政対策の取り組みについても、こうした自治体機能の見直しとの整合が求められていると思うところであります。 先月、我が公明党議員団は、大阪市との統合本部を設置し、新たな大都市制度など自治体機能の見直しと並行して、現行制度における
行政サービスや施設のあり方について抜本的な検討を進めている大阪府に赴きました。 そこでは、具体的に経営形態の見直し事業として、府立・市立病院の一部機能統合、府立大学・市立大学の法人統合に向けた組織改革の推進、公営住宅について、大阪市内の府営住宅を市に移管し、美術館などの文化施設についても、府と市の一体的運営の可能性を検討するなど、それぞれの役割分担を踏まえ、二重行政を一元化するさまざまな見直しが検討されているところです。いずこでも抱えている課題でありますが、正直、いずれも難事業であると思いました。 本県では、県有施設の見直しについて、設置目的や公民の役割分担などの観点から見直しを行うこととしておりますが、県内市町村、特に政令市との関係を踏まえた検討を行うことも重要であります。 また、県有施設の見直しに当たっては、利用価値に見合った利活用という視点も重要であります。特に、横浜市内の県有施設は、交通の便がよく、県庁に近いという優位性がありますので、当然のことながら、それぞれの価値に見合った十分な利活用が求められます。 しかしながら、現実の施設運営を見てみますと、必ずしも十分な利活用が図られているとは思えないのであります。 具体的に申し上げますと、自治会館については、平成23年度に福利厚生施設としての利用が廃止され、現在は会議室として転用されておりますが、現状のままでは使い勝手が悪く、ほとんど活用されていないスペースもあります。 また、横浜合同庁舎については、県税事務所や人事委員会が利用しておりますが、山下公園や中華街、元町といった観光地の至近にありながら、財産価値に見合った活用がされていない感があります。何としても、宝の持ち腐れとのそしりは避けなければなりません。 さらに、先般、存続を決定した県民センターについても、会議室やホール、展示室の有効活用が今後の課題となっております。 神奈川州(仮称)を目指すとした今日、これらの施設をどう生かしていくのか、いずれも横浜市内の一等地にあり、また県庁からの距離も近いという点で大きな利用価値がありますので、見直しに当たっては、県民の利便性確保や本庁組織の見直しとの関係、施設売却による財源確保といった点も踏まえ、各施設の利用価値をしっかりと見きわめた上で利活用を図るべきだと思います。 そこで、知事に伺います。 県庁周辺にあり、利用価値の高い自治会館、横浜合同庁舎、県民センターの利活用について、どのように考えておられるのか、所見を伺います。 次に、再生可能エネルギー普及促進のための税制措置について伺います。 昨年11月に、知事から神奈川県地方税制等研究会に、再生可能エネルギー普及促進のための税制措置について検討を依頼していたところ、中間報告書が取りまとめられ、このほど報告されました。 この中間報告書では、我が国におけるエネルギー政策の動向や、本県が推進しているかながわスマートエネルギー構想に言及した上で、太陽光発電や省エネ住宅などの普及促進に向けた税の軽減措置と、今後のエネルギー施策を展望しつつ、将来発生するであろう財政需要を賄うための財源確保策について考え方が示されております。 これらの税制措置については、国税と地方税を通じた税体系全体を対象として、法改正を伴うものに絞り込み、基本的な考え方の方向性が示されており、本来、再生可能エネルギーの普及促進は国全体で取り組むべき課題であると考えるならば、当然の指摘であります。 しかしながら、今後、地方税制等研究会では、最終報告に向けて、国のエネルギー政策の動向を踏まえながら、この報告書の内容も見直すこととしており、あわせて課税自主権を活用した本県独自の財源確保策も今後の検討課題として掲げていることに注目しております。 もちろん、本県が独自に財源を確保して先駆的な施策を展開していくことは、地方の自主性、独自性を生かす観点から意義のあることですが、再生可能エネルギーを含めたエネルギー政策については、いまだ全体的なスキームが明確にされていないことに加えて、今後数年間のうちに消費税率引上げを初めとする各種の負担増が予定されている中で、本県独自に新税などを導入することになれば、県民の理解が得られるかは甚だ疑問であります。 そこで、かながわスマートエネルギー構想の推進に当たり、課税自主権を活用した独自の財源確保策を講ずることについて、知事はどのように考えておられるのか、所見を伺います。 質問の第3は、重度障害者医療費助成制度の精神障害者への適用拡大についてであります。 我が党は、障害者自立支援法により、身体障害者、知的障害者及び精神障害者に対するサービスが一元化されたことを踏まえ、精神障害者も地域で安心して適切な医療が受けられるよう、本県の重度障害者医療費助成制度の対象に精神障害者を加えるよう、繰り返し求めてきたところであります。 そのような中、昨年の第3回県議会定例会において、在宅重度障害者等手当の経過措置が終了し、本格実施に向けて障害者の方の理解を得るためには、日々の地域の生活の中で、県の施策の充実が実感できるような取り組みを行っていくことが必要ではないかと、再三議論させていただきました。 それらを受け、県では、障害者地域生活支援推進プログラム大綱の進捗状況や今後の進め方について、障害者団体等と意見交換会を行い、ここでの意見も踏まえて、知事より、重度障害者の医療費助成制度については、精神障害者に適用拡大する方向で、事業実施主体である市町村と協議を進めていく旨の答弁をいただくに至ったところでございます。 一方で、本年1月、緊急財政対策本部を設置し、調査会からの中間意見が提出され、その中では、すべての補助金を一時凍結との報道もあり、これまで本県が市町村へ補助してきた重度障害者医療費助成制度に与える影響を大いに懸念しているところであります。 重度障害者医療費助成制度については、いのち輝くマグネット施策の一つとして本年度の重点的な取り組みであり、精神障害者への適用拡大は、まさに3障害一元化の第一歩であると思っております。 そこで、知事に伺います。 現在、本県においては、早期にすべての市町村において精神障害者が制度の対象に加えられるよう努力していると思いますが、どのような取り組みを行っているのか。また、今後も安定的な制度の運営が求められると思いますが、知事の所見を伺います。 次に、県立病院の今後の展開について伺います。 先ほども述べましたが、大阪都構想のように、府と市の統合とは全く異なる横浜市の特別自治市大綱の中では、市内にある県立こども医療センター、県立がんセンター、県立精神医療センター等の県立病院も横浜市への移管の対象と記載されております。 私は、本県が病院を設立・運営している理由は、市町村の枠を超えた広域自治体としての役割が求められているからだと思うのであります。 具体的には、地域の民間病院や、一般的な市立の総合病院では対応が難しい高度専門医療、特殊医療や市町村の枠を超えた対応が必要な救急医療や、広域的な災害時医療の提供を行うという役割であります。 ところで、県立病院の役割を考えたとき、県立汐見台病院については課題があるとも思われます。大変に老朽化しておりますが、磯子区や港南区の住民にとっては、身近な医療を提供する重要な病院であります。本年4月にあり方検討委員会の報告書が出された段階であり、存続要望が強い中、県の広域自治体としての役割を踏まえ、横浜市や地元住民、地域の医療機関等と綿密に連携を図りながら、今後のあり方について十分に納得する検討を進めていっていただきたいと念願するものであります。 一方、他の県立病院は、まさに広域自治体である県の役割を担っている病院であり、特に県立がんセンターや県立精神医療センターの再整備を、引き続き県として推進していくことを大いに期待しております。 精神医療センター芹香病院は、精神科救急医療、ストレスケア医療、難治重症医療など、全県的な精神科医療に対応し、重要な役割を担っています。また、同センターせりがや病院は、都道府県立では全国唯一の依存症・中毒性精神障害の専門病院として、アルコールや覚醒剤などの薬物による依存症の治療に対応してきました。 現在、医療機能のさらなる強化に向けて、この二つの病院を統合し、平成26年度のオープンを目指した整備が行われているところであります。精神医療センターの再整備によって、本県の精神科医療の拠点としての環境が整い、著しい増加傾向にある認知症や鬱病への対応など、県民ニーズに的確に対応した取り組みが求められております。 そこで、知事に伺います。 横浜市の研究会で市への移管との提言が出されている県立精神医療センターについて、県立病院として存続される意義、役割をどのように考えておられるのか、知事の所見を伺います。 次に、市民後見人制度について伺います。 先日、我が国の65歳以上の高齢人口がおよそ3,074万人、総人口の24.1%を占めるとの推計値が明らかにされました。県の推計によれば、ひとり暮らしの高齢者、または高齢者の夫婦のみで暮らす世帯が急増しており、平成27年度には、県内世帯のおおむね5軒に1軒は高齢者のみの世帯となる超高齢社会を迎えることになります。 県民人口の高齢化が進めば、それに応じて認知症高齢者の増加は着実に進むものと思われます。 そうした中、高齢者の方々の一番の心配事は、自分が適正な判断ができなくなった場合の財産管理や生活支援であります。判断能力が十分でなくなった方々の財産管理や介護サービスの契約行為など、本人の権利を守る制度として成年後見制度がありますが、弁護士や社会福祉士などの専門職の第三者後見人は絶対的に不足しており、第三者後見人の確保は喫緊の課題であります。 こうした課題へ対応するため、国は昨年、老人福祉法等の改正を行い、市民後見人の養成を市町村の役割とし、県は市町村の支援を行うこととされました。 これまでも本県では、かながわ成年後見推進センターを設置するなど、成年後見制度の普及と法人後見への支援に努力してまいりましたが、市民後見人の養成についてはまだまだという状況であります。 また、市町村においても、市民後見人の養成への取り組みは緒についたばかりで、正直、どのように養成していくか戸惑っているというのが現状ではないでしょうか。 市民後見人の場合、弁護士などの専門職による後見と異なり、法律や財産管理、遺産相続といった面での専門的な知識が十分でない中、どのような形で後見人としての役割を果たせるか、ちゅうちょされている方がほとんどではないかと懸念しております。また、仮に市民後見人を養成できても、その方々が実際に後見人として家庭裁判所から選任されるかどうかも大きな課題であり、現に養成したものの、家庭裁判所から選任を得られず、市民後見人の養成のあり方を見直さざるを得ない市町村も出てきております。 一方、東京都品川区では、市民後見人の後見監督人として、地区社協などの法人を位置づけて、家庭裁判所から市民後見人の選任を得ています。市民後見人を養成する場合に重要なことは、まず、どのような市民後見人を育てていくかということだと思います。 そこで、提案ですが、初めから単独後見人を目指すのではなく、最初は身上監護という比較的簡単な後見から始めて、その後、研修等によるステップアップを行い、遺産相続、契約などの財産管理等専門職が担う分野を担当するというステップアップ方式で養成していくことを取り組んではいかがでしょうか。あるいは、品川区方式のように、後見監督人として法人等をつけるなども検討すべきではないかと思うのであります。 市民後見人の養成が義務づけられ、多くの課題を抱え、戸惑う市町村を県がリーダーシップを発揮し、適切に誘導していくことこそが、支援の第一歩ではないかと考えます。 そこで、
保健福祉局長に伺います。 本県として、市民後見人の養成について、市町村への支援を含めて、今後どのように取り組んでいこうと考えておられるのか、所見を伺います。 次に、高齢者の住宅対策について伺います。 本年6月、県営原宿団地の一室で、妻が病死した後、夫が自力で生活できなくなり、衰弱して孤立死したとの報道がありました。このような高齢者の痛ましい事故が起きないよう、昨年4月、高齢者住まい法が改正され、新たに安否確認などの生活支援を行うサービス付き高齢者向け住宅の登録制度が創設され、10月20日から施行されたところであります。 本県でも、住宅部局と福祉部局とが連携して、昨年4月に「高齢者居住安定確保計画」を策定し、このサービス付き高齢者向け住宅について、平成23年度から26年度末までの供給目標を4,500戸として取り組みを開始していることは承知しております。 この住宅の登録がスタートしてからまだ1年弱でありますが、本年8月末現在の登録戸数は93件3,636戸であり、今年度中にも26年度の供給目標を超える勢いで登録が進んでいるようであります。こうした状況は全国的にも同様であり、他県の市町村ではむしろ高齢者が増加して、介護保険の負担増を懸念する声もあると聞いております。そこで、住宅と福祉の政策的連携の必要性をますます強く感じるところであります。 高齢者だけで暮らしている世帯は、今後も大幅な増加が見込まれており、なお一層、サービス付き高齢者向け住宅の供給を促進していくべきであり、我が党もマニフェストで、この住宅の大幅な拡充を提唱しているところであります。 国では、サービス付き高齢者向け住宅の供給促進策として、建設費の補助や税制優遇、さらには住宅金融支援機構による融資を行っておりますが、サービス内容と家賃の課題があることも指摘されております。 そこで、知事に伺います。 本県では、この住宅の供給促進策についてどのように考えておられるのか、また、エンドユーザーである県民に対してどのような対応を考えておられるのか、所見を伺います。 次に、犯罪被害者等の支援の充実について伺います。 本県では、全国に先駆けて総合的な「犯罪被害者等支援条例」を制定し、加えて「犯罪被害者等支援推進計画」を策定し、その推進を図っております。今年度は支援推進計画の4年目を迎えており、来年度には計画を改定し、より施策の充実を図っていくことが必要であると思います。 支援推進計画に基づく本県の被害者支援の取り組みの中で中心となるのは、かながわ犯罪被害者サポートステーションによる被害者支援の取り組みであり、県、警察、民間支援団体の三者が一体となって行う被害者支援は、全国的にも先進的な取り組みとして評価されております。 このサポートステーション開設以来の実績を見てみますと、相談件数は減少傾向ですが、法律相談など具体の支援を実施した件数は、21年度の212件に対して22年度は285件、23年度は385件と着実に増加しております。減少傾向にあった相談件数につきましても、今年度は7月までの相談件数が大幅に増加しており、被害者の方々からの相談に応じ、また、それぞれの状況に応じて、法律相談やカウンセリングを初めとする幅広い専門的な支援を一元的に提供する意義は大変大きくなっております。 加えて、昨今、犯罪は広域的に起こっており、犯罪が都道府県内で完結するとは限らない以上、他の都県との連携も重要な視点であると思います。また、被害者の方々は、サポートステーションで提供する支援のほかにも、福祉や医療などさまざまな支援を必要としておられます。 医療の面では、本年2月に県の産科婦人科医会と協定を締結し、被害者の心情に配慮した診療や、一人で悩んでいる被害者の方にサポートステーションを紹介していただくなどの取り組みをお願いしております。 福祉など生活面での具体的な支援については、身近な市町村の役割が大きくなっております。例えば、引っ越しなどで市町村の窓口に来た人の話をよく聞いてみますと、犯罪被害に遭った方であることがわかる場合や、逆にサポートステーションに相談に来た被害者が生活保護を必要としているケースもあります。 県内では、この6月に新たに横浜市が犯罪被害者相談窓口を設置したほか、犯罪被害者のための相談・問い合わせに対応する窓口を設置している市町村は県内16市町にとどまっており、その取組状況もさまざまであります。一層県がリードして、相互の連携強化を図っていくことが必要だと思います。 そこで、知事に伺います。 来年度に予定されている計画の改定に当たっては、これまでの施策の実施状況をさまざまな角度から検証して、しっかりとした改定をすべきと思いますが、計画改定に向けてどのように取り組んでいかれるのか。サポートステーションと近隣都県や県内市町村との相互の連携強化を図ることも必要と思います。今後どのように犯罪被害者の支援を推進していこうとされているのか、所見を伺っておきます。 質問の最後は、高齢運転者の運転免許自主返納についてであります。 県内の交通事故の発生状況は、本年8月末現在で、発生件数、負傷者数、死者数とも減少し、死者数については102人で、前年同期と比較して9人減少していると承知しております。 しかしながら、高齢運転者が第一当事者となる交通事故の全事故に占める割合は増加傾向であると伺っており、今後ますます高齢化が進むことを考えますと、高齢運転者に対する交通事故防止対策が急務であると思います。 このような中、本年4月に改正道路交通法施行規則が施行され、免許証を自主返納された方の利便性を図るため、運転経歴証明書の再交付や住所変更が可能となり、本人確認書類としての機能が向上するなどした結果、免許証を自主返納する高齢者がふえたと伺っております。 高齢運転者が自主的に免許証を返納することは、高齢運転者が第一当事者となる交通事故を防止する上で大変重要な施策であると考えます。しかしながら、自主返納や運転経歴証明書制度を知らない県民も多くいると伺っており、さらなる周知の徹底を図ることが必要であります。 県警察においては、平成21年から高齢運転者に免許証の自主返納を促進するため、神奈川県高齢者運転免許自主返納サポート協議会を発足し、免許証を返納した高齢者に対する利便性を向上するため、参加企業による各種のサービスを行っていると聞いております。他の都道府県では、免許証を返納した高齢者の移動の支援として、バス、タクシーの利用料金の割引などを行っているとも伺っております。 本県においても、免許証を自主返納する高齢者がふえる中、サポート協議会の参加企業が行うサービスの中で、特に高齢者の移動を支援するため、公共交通機関等の同協議会への参加を促し、さまざまなサービスを行うことが重要であります。これが、さらなる免許証の自主返納につながるものと思うからであります。 そこで、警察本部長に伺います。 運転免許の自主返納や運転経歴証明書の申請状況及びこれらの周知方策について伺っておきます。また、自主返納された高齢者に対する移動支援のあり方について、県警察の考え方についてもあわせて伺います。 以上で、私の第1回目の質問を終わります。 まことにご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 髙橋議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、県庁周辺の県有施設の見直しについてお尋ねがありました。 現在、県庁周辺には本庁の四つの庁舎のほかに、職員の福利厚生施設として利用してきた自治会館や県税事務所等が入る横浜合同庁舎などの県有施設があります。一方で、県の庁舎に入り切らない本庁の一部の課や教育委員会などについては、五つの民間ビルに延べ床面積にして約8,200平方メートルを借り上げて入居しており、この借り上げにかかる経費に年間約4億5,000万円ほどかかっております。 緊急財政対策に取り組む中で、県有地、県有施設の有効活用と賃借料の縮減は喫緊の課題と考えております。このため、福利厚生施設としての機能を廃止した自治会館については、これを事務室に転用し、有効活用する検討を始めたところです。また、横浜合同庁舎は、今後、本庁庁舎の耐震工事を行う場合に、仮移転先を確保する必要がありますので、その際の仮移転先としての活用なども検討してまいりたいと考えております。さらに、神奈川県民センターの入所期間や機能の見直しの中で、民間ビルに入居している県機関を県民センターに集約化できないかなど検討してまいります。 今後、こうした検討を一体的に行うことにより、県庁周辺の県有施設の有効活用と借り上げ庁舎の解消を図ってまいります。 次に、再生可能エネルギー普及促進のための税制措置についてお尋ねがありました。 かながわスマートエネルギー構想は、将来にわたり安全・安心なエネルギーを安定的に確保するため、エネルギーの地産地消を進め、分散型のエネルギー体系の構築を目指すものであります。こうした地方独自の取り組みのために課税自主権を検討することは、地域主権の観点からも必要であります。 先般、地方税制等研究会から、法改正を伴うものに絞り込み、中間報告をいただきましたが、課税自主権の活用も視野に入れ、税の軽減措置や財源確保策について、今年度中に最終報告をいただく予定になっております。今後、スマートエネルギー構想を推進するための税制措置について、どのようなアイデアをいただけるのか、研究会の議論に期待しているところであります。 このうち、お尋ねのありました課税自主権を活用した財源確保策については、新たに負担を求める以上、県民の皆様のご理解が不可欠であります。現在、消費税率アップや復興増税など、既にさまざまな負担の増加が予定されている中で、雇用・所得環境は依然として厳しい状況にありますので、さらに新たな負担をお願いすることについては、研究会の最終報告を待った上で慎重に検討を行ってまいります。 なお、再生可能エネルギーの普及を後押しする税の軽減措置については、今後、具体化に向けた検討を進めてまいります。 次に、重度障害者医療費助成制度についてお尋ねをいただきました。 県は本年度から重度障害者医療費助成制度について、障害者の地域生活支援施策の充実の一環として、精神障害1級の方の通院を対象に加えました。この制度は、市町村が重度障害者に対して医療費を助成する場合に、県がその一部を補助するものであることから、県は本年2月に検討会を設置し、市町村に精神障害者を対象に加えるよう働きかけてきました。 検討会は毎月1回程度開催し、既に精神障害者を対象としている市町の現状をお聞きしながら、医療証の発行や更新など、精神障害者への対象拡大に当たっての拡大について、活発な意見交換を行っております。この結果、精神障害者を対象としている市町村は、本年2月には12市町でしたが、現在は14市町村となっています。本年度中にさらに5市町程度が実施を予定しており、平成25年度からの実施に向けて検討を進めている市町村もあります。 今後の制度運営でありますが、県は危機的な財政状況を受け、緊急財政対策本部を設置し、財政の抜本的な構造改革に取り組んでいるところであり、補助金についてもゼロベースで見直すこととしております。対策本部の調査会の最終意見を受けて、今後、県としての取組方針を検討してまいります。 重度障害者医療費助成制度につきましては、社会保障と税の一体改革との関連、見直しによる県民や市町村への影響という観点からも検討してまいります。 次に、県立精神医療センターについてのお尋ねがありました。 県立精神医療センターは、精神保健福祉法により、都道府県に設置が義務づけられている精神科病院として、県域全体を対象に民間病院では受け入れが困難な重症患者を受け入れています。また、本県の精神科救急医療体制の中で、基幹7病院33床のうち、約半数の16床を確保し、基幹病院としての役割を担っています。 さらに、心身喪失等の状態で殺人などの重大な犯罪を犯し、無罪判決等を受けた者などを治療することは、国と都道府県等の役割となっています。そのために、精神医療センターは医療観察法病床を持っております。 このように精神医療センターは、県立病院として民間病院では対応が困難な専門医療を提供し、県内全体の精神科医療におけるまさしくセンターとしての役割を担っていると考えております。 次に、高齢者の住宅対策について、サービス付き高齢者向け住宅についてお尋ねがありました。 この住宅は、昨年の高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正により、新たに制度化されたバリアフリー住宅で、介護・医療と連携した高齢者への支援や見守りサービスなどが受けられるものです。 本県では、サービス付き高齢者向け住宅が、確実に到来する超高齢社会への備えとして重要であるとの認識から、「かながわグランドデザイン」において、平成26年度までに登録戸数4,500戸という目標を掲げました。 そこで、この住宅の供給促進策についてですが、県と市町村、不動産団体などで構成する神奈川県居住支援協議会を通じて、今年2月に1都3県の225の事業者を対象に制度の周知を図るとともに、今後の事業予定や供給促進に向けた課題等について、アンケート調査を実施いたしました。 この調査で、事業用地を提供する土地所有者に対して、事業の普及啓発が必要との結果を得たことから、今年度は土地所有者への説明会や見学会などを開催することとしております。また、入居者となる県民への対応としては、サービスつき高齢者向け住宅の物件情報や入居者募集情報を迅速かつわかりやすく提供する仕組みを検討し、早期の実施を図ってまいります。 今後、県といたしましては、こうした取り組みを通じて高齢者の居住の安定を確保してまいります。 最後に、犯罪被害者等の支援の充実についてお尋ねがありました。 まず、計画改定についてですが、「犯罪被害者等支援推進計画」については毎年度取り組みを検証し、施策の充実を図ってきたところです。昨年度の取り組みについては、この9月4日に有識者等による検証委員会から検証結果が示され、教育の場と連携した普及・啓発の拡大などの意見をいただきました。 今後も、私が力を注いでいる、いのちの授業の一環として、かながわ犯罪被害者サポートステーションを構成する県警察が主体となり、中高生に対して犯罪被害者の実情と命の大切さを伝えるため、命の大切さを学ぶ教室を実施いたします。 計画最終年度の25年度には、改めて4年間の取り組みを検証していただき、よりきめ細かな被害者支援策や県民の被害者等への理解促進、被害者を支える多様な人材の育成などの観点から充実した計画を策定いたします。 今後の犯罪被害者等の支援の推進についてですが、被害者支援については、都道府県によって支援の内容に相違があるのが現状です。そこで、本県が呼びかけて開催しています関東1都6県の担当課長による意見交換会を通じて、各都県の支援の充実、連携に向けた取り組みを進めてまいります。 また、県内市町村との連携についてですが、横浜市が本年6月に相談窓口を開設しましたので、法律相談などについては県のサポートステーションへ、福祉に関する相談などについては市の窓口へ、相互に橋渡しをしています。今後、他の県内市町村ともさまざまな形で連携を強化し、犯罪被害者等が必要とする支援をきめ細かく提供できるよう取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。〔
保健福祉局長(菊池善信)発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 菊池
保健福祉局長。
◎
保健福祉局長(菊池善信) 市民後見人の養成についてお答えします。 高齢化が進展する中で、成年後見制度は高齢者や障害者の権利を守り、地域での生活を支える重要な役割を担っております。現在、成年後見人は親族の場合が多くなっておりますが、弁護士や社会福祉士、司法書士、行政書士などの専門職や法人が選ばれることもあります。 今後は、近くに親族がいない高齢者世帯の増加や親亡き後の障害者への支援、さらには身近なところで生活全般への支援の高まりなどにより、後見制度としての法人後見や市民後見人の必要性が増してくるものと認識しております。 現在、県内で家庭裁判所から選任を受けている市民後見人は6名にとどまっており、今後、市民後見人の養成が促進されるよう、本年7月に市民後見人養成あり方検討会を設置し、養成方策の検討を進めております。 現時点では養成研修のうち、基礎研修は県が、実践研修は市町村が担うという役割分担のもとで進めていくことなどが検討されており、11市町村からは県と連携して養成に取り組むとの意向が示されております。 今後、県はこれらの市町村と連携して、市民後見人の養成に取り組み、そこで得たノウハウなどを他の市町村に普及し、市町村の取り組みが促進されるよう働きかけてまいります。 また、市民後見人の活動をバックアップできるよう、後見業務に取り組もうとする市町村社会福祉協議会に対して助言や助成をしてまいります。 私からの答弁は以上です。〔警察本部長(久我英一)発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 久我警察本部長。
◎警察本部長(久我英一) 高齢運転者の運転免許証の返納についてお答えいたします。 初めに、運転免許証を返納された方は本年8月末現在4,099人で、前年同期と比較して2,642人増加しております。このうち、65歳以上の高齢者が3,854人と、全体の約94%を占めております。また、運転経歴証明書を申請された方は本年8月末現在3,132人で、2,579人の増加となっております。このうち、65歳以上の高齢者が2,968人と、約95%を占めております。 本年4月に改正道路交通法施行規則が施行され、運転経歴証明書の本人確認書類としての機能が充実したことなどにより、運転免許証の返納や運転経歴証明書の申請は高齢者を中心に大幅に増加をしております。 県警察では、ホームページへの登載や更新時講習、高齢運転者を対象とした交通安全教室などにおける広報啓発のほか、自治体等関係機関・団体と連携し、各種広報紙等を活用して返納制度の周知を図っているところであります。 次に、運転免許証を返納された高齢者に対する支援についてであります。 運転免許証の返納を促進し、高齢運転者の交通事故防止を支援することを目的として発足した神奈川県高齢者運転免許自主返納サポート協議会では、加盟の店舗や施設等において運転経歴証明書を提示することにより、各種割引や優待等を受けることができます。 議員ご指摘のとおり、運転免許証を返納された高齢者の移動を支援するためにバス、タクシー等の公共交通機関の事業者が協力している県もあり、県警察といたしましては、こうした支援は大変望ましいことと考えております。県警察といたしましては、バス、タクシー等の事業者に対して、サポート協議会への加盟を含めた協力を働きかけるなど、引き続き支援の拡充を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。〔髙橋 稔議員発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 髙橋稔君。
◆髙橋稔議員 知事並びに
保健福祉局長等、答弁ありがとうございました。 まず、何点か要望させていただきますが、警察本部長も丁寧に答弁をいただきまして、ありがとうございました。警察本部長につきましては、後ほど具体的にもう少し要望があるものですから、抜かせていただきましたけども。 まず最初に、再生可能エネルギーの普及促進につきまして、税制措置について課税自主権のことに言及されましたけれども、知事もくしくも負担増がこれからさまざまな形であるというふうにおっしゃっておりましたけれども、まさに、10月1日から環境税が導入されるということもあったりいたしまして、これから環境という名を冠した税が具体的に展開されていくわけですけれども、そういったことを考えますと、ここで私が申し上げたかったのは、課税自主権があるからといって、なかなかそれは本県のみが今、走ることにどれだけ県民の理解が得られるかなということでして、やはり環境、再生可能エネルギー、国の大きな方向性を示して、そして、いわば国策として展開していかなければいけないものでもあるでしょうし、そういった意味では、この点につきまして、しっかり我々とも議論をさせていただいた上で、慎重な取り組みをお願いしたいというふうに考えております。このことを要望しておきたいと思います。 それから、重度障害者医療費助成制度の精神障害者の方への拡大についてでございますが、答弁でも、着実に市町村がこの事業を展開するようになってきているというふうに今思いました。また、これから、来年度でしょうか、5市町村も考えているというような答弁もいただいたわけですけれども、先ほど上杉鷹山の話をさせていただきましたが、愛と信頼ということで藩政改革を行ったというふうに史実を学びましたけれども、市町村との信頼関係にひびが入らないようにお願いしたい。やはりしっかりした話し合いが必要でしょうし、県が一方的に補助金をゼロベースでと言っても、しっかり市町村もそういった県の一部補助という裏づけがあったがゆえに取り組んでいこうとしているわけでしょうから、そういった意味では、その信頼関係にひびが入らないように対応をお願いしたいというふうに思います。 そういったことが、鷹山が藩政改革をした上での大事な視点でもあったのではないかというふうに、上杉鷹山にこだわりますけれども、知事が所信表明であれほど紹介されましたので、学んでみましたけれども、そのようなところをぜひお願い申し上げたい。 知事と以前、障害者団体の会合に行かれたときも、障害者の方々の差別撤廃ということが大事だということで、そういう宣言をされた大会に同席したこともありましたので、そういったところでは共有できるかなという思いを強くしているところでございます。 続きまして、県立病院の今後の展開についてでありますが、これも精神保健医療センターが核となって、中核のところで活躍していくというのは当然のことなのですが、各都道府県の医療計画に従来のがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾病に加えまして、国では今度、精神疾患も新たに加えて五大疾病とする方針を決めたわけですね。したがいまして、本県でも本年度改定される「県保健医療計画」に精神疾患の対策が明確に取り込まれるというふうに仄聞しておりますけれども、本県の精神保健医療・福祉は重要な局面を今迎えているところではないかなと、このように思います。 そこで、この再整備が進められている県立精神保健医療センター、これを核としてという答弁がありましたけれども、このハード面の整備だけではなく、精神科救急医療体制のさらなる強力な体制の構築、また合併症患者の受け入れも含めたソフト面での機能の確立、こういったことも求められてくるかというふうに思っております。 国でもそういうことで五大疾病という方針を決めた精神医療でございますので、ぜひしっかりしたキーセンターになるように強く要望させていただきたいなと思っております。 それから、県警本部長におかれましては、ありがとうございます。 免許証の自主返納でございますけれども、タクシー会社等の強力な支援をいただいている埼玉県、大阪府、そういったところも出ていますので、ぜひ神奈川も負けないように頑張っていただくように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
△《本会議録-平成24年第3回-20120920-027217-質問・答弁-飯田誠議員-一般質問①県央・湘南都市圏の交通基盤の整備について②生活支援ロボットの実証実験について③小児医療費助成制度について④消防の広域化について⑤河川の治水対策における地域の建設業者との連携について⑥スポーツ振興について》 〔飯田 誠議員発言の許可を求む〕
○議長(竹内英明) 飯田誠君。〔飯田 誠議員登壇〕(拍手)〔議長退席、副議長着席〕
◆飯田誠議員 議長のお許しをいただきましたので、私は県政会神奈川県議会議員団の一員として、通告に従い、順次、提言を交えながら質問をさせていただきます。 知事、教育長、
安全防災局長並びに
県土整備局長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩並びに同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 質問の第1は、県央・湘南都市圏の交通基盤の整備についてであります。 県央・湘南都市圏は交通の要衝として発展しており、幹線道路については、平成26年度までにさがみ縦貫道路、平成32年度までには新東名高速道路の開通がそれぞれ予定されています。今後、この都市圏が一層の発展をするためには、鉄道路線を含めた交通ネットワークの充実強化を図り、都市拠点を結びつけていく必要があります。 そこで、県では、相模原市域に設置が決定しているリニア中央新幹線神奈川県駅と寒川町倉見地区への設置を目指している東海道新幹線新駅により、全国との交流連携の窓口となる南北二つのゲートを形成し、この二つのゲートをつなぐJR相模線の複線化により南北方向の輸送力強化を目指しているところであります。 また、南のゲートへの交通アクセスの要素である相鉄いずみ野線の延伸に関連して、2年間にわたる検討会の検討結果がこの6月に公表されたところであります。 この県央・湘南都市圏の交通基盤の整備について、我が会派としても、これまで何度も取り上げてきました。関係市町村との連携や鉄道事業者の主体的な取り組みに依存する部分があり、なかなか具体的な動きが見えにくい側面もあります。しかし、この地域の交通ネットワークの充実強化を図っていくことは、広域行政を担う県として大変重要な取り組みであり、県央・湘南都市圏の発展を図る上で必要不可欠でありますので、ここで改めて取り上げたいと思います。 まず、第1点目は、東海道新幹線新駅についてであります。 リニア中央新幹線については、平成23年5月に国土交通大臣からJR東海に対して建設の指示がなされ、これを受け、JR東海は環境影響評価に関する手続を進めているところであります。また、本年4月には、リニア中央新幹線建設促進神奈川県期成同盟会が、JR東海に対して神奈川県駅を橋本駅周辺へ設置することを要望するなど、実現に向けて着実に動き出しています。今後、東京・名古屋間については平成39年の開業を目指していくこととされていますが、その進捗に大いに期待しているところであります。 このリニア中央新幹線が実現すると、東海道新幹線ののぞみの機能がリニア中央新幹線に移り、東海道新幹線のダイヤの過密度が緩和され、余裕が生まれるため、寒川町倉見地区への新駅設置の可能性が高まってきていると言われています。 また一方で、単に新駅が設置されるだけでは、その意義は限定的になってしまいます。JR東海が新駅を設置する際には、南のゲートとなる新駅の周辺を、誰もが訪れたくなる魅力あるまちにしていくことが大切であるということは、知事がこれまでお話しされているとおりであると考えています。 そこで、知事に伺います。 東海道新幹線新駅誘致に向けた今後の取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。 次に、JR相模線の複線化について伺います。 JR相模線は茅ヶ崎・橋本間を南北に結ぶ単線路線で、営業キロ数は33.3キロメートル、全部で18の駅を有しています。このうち、行き違い可能駅が11駅あるものと承知しています。相模原市域のリニア中央新幹線神奈川県駅と寒川町倉見地区の東海道新幹線新駅による南北ゲートの形成が前進していくと、これらをつなぐ相模線の輸送力の改善がますます重要になってくるとともに、沿線住民の複線化に対する期待もますます大きくなってきています。 こうした機運を逃さないためにも、鉄道事業者へ輸送力改善をこれまで以上に強く求めていく一方、県や沿線市町においても、まちづくりを初めとする利用促進策など、長期的に鉄道を支えていく取り組みも一層強化する必要があると考えます。 県と沿線市町では、昨年から、将来の相模線のあり方などについて検討を行っているものと承知しています。このような検討を進めていく中で、今後の複線化に向けた具体的取り組みの実施に結びつけていただきたいと考えています。 そこで、知事に伺います。 JR相模線の輸送力改善や利用促進に向けた現状の取り組みと、今後の取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。 質問の第2は、生活支援ロボットの実証実験についてであります。 2年後の全面開通に向け、さがみ縦貫道路は今、着々と整備が進められています。この5月には、インターチェンジやパーキングエリアなどの名称も正式決定するなど、いよいよ詰めの段階に入ったと実感しているところであります。 私も、多くの県民と同様、この開通を契機とした県央や湘南地域の発展を願う一人であります。知事のリーダーシップのもと、魅力あるまちづくりを市町村と一体となって進めていただきたいと思っています。 さて、先日、知事は、さがみ縦貫道路沿線の地域等において、地域活性化総合特区を活用し、生活支援ロボットの開発、普及を進めていくと表明されました。この取り組みが高い技術力を持つ
県内中小企業の活躍の場となるとともに、地域の発展の起爆剤となる企業の立地につながるよう期待するところであります。 この地域には、精密で超小型のセンサーをつくる技術や、複雑な形状にも対応できる精密加工技術など、世界に誇れるオンリーワン技術を持つ中小企業が数多く立地しています。ロボットをつくるためには非常に多くの技術を組み込むことが必要であり、一企業では荷が重いと思うことも、その中の一つ一つの技術で見れば、きらりと光る中小企業の技術を十分に生かすことができるはずです。それらをうまく組み合わせられるよう、産業技術センターによるコーディネート機能の発揮を望むものです。 また、今回の取り組みの中で特に目を引くのが、生活支援ロボットの実証実験に力を入れている点であります。実証実験は、ロボットの製品化・商品化にとって欠かせないプロセスでありますが、それ以上に、使い勝手の改善に向けた技術改良を通じて、参加企業に技術力向上の機会を提供することになります。ぜひ、多くの企業が参加できる仕組みをつくり、中小企業はもとより、神奈川の技術力・競争力アップにつなげていっていただきたいと思います。 そこで、知事に伺います。 今回の地域活性化総合特区を活用する中で、県内企業のさらなる技術力向上や技術力の高い企業の県内立地については、どのように取り組んでいこうと考えられているのか、お伺いいたします。 質問の第3は、小児医療費助成制度についてであります。 小児医療費助成制度は、小児の健全育成と保護者の経済的負担を軽減することを目的として、現在、本県を初め全国の都道府県で実施されています。本県においても、平成7年度から、県の市町村に対する補助制度を実施しています。その後、平成20年10月の見直しでは、通院に対する補助対象が3歳未満から小学校就学前まで拡大され、入院については、引き続き中学校卒業までが対象となっていると承知しています。 しかしながら、現在、実施主体である市町村においては、特に通院について、多くの市町村が県の基準を上回って助成対象を拡大してきており、財政負担の増加や、市町村間のサービス格差が生じ、大きな課題となっています。 例えば、今年の4月1日現在で、33市町村のうち、通院について、県基準どおり小学校就学前としているのが7市町、6歳以下が1市、小学校1年までが1市、2年までが1市、3年までが8市町、6年までが8市町、中学校卒業までが7市町村となっております。また、これに加えて所得制限にもさまざまな差が生じております。 こうした中、市町村からは、県に対し、全国統一的な医療費助成制度の創設を国に働きかけるとともに、現行の補助対象を拡大するなど、より制度の充実を図るべきとの要望がなされていると聞いています。このような状況も踏まえ、本県では、本年6月に実施した国の施策・制度・予算に関する提案の中において、国における医療費助成制度の創設を引き続き要望しているところであります。 しかしながら、小児医療費助成制度は、子供たちが健やかに育つ環境を整える子育て支援の一環として重要な施策であると考えています。国による公費負担制度創設に向け、より一層強く働きかけるとともに、県内においても補助対象年齢の拡大を図るなどして統一的に制度充実を図ることも検討すべきであると考えます。 現在、県では緊急財政対策に取り組むなど、極めて厳しい状況と承知しておりますが、必要な施策にはしっかりと取り組み、「いのち輝くマグネット神奈川」を実現していただきたいと考えます。 そこで、知事に伺います。 県では、今後、小児医療費助成制度について、どのように取り組んでいこうと考えているのか、お伺いいたします。 質問の第4は、消防の広域化についてであります。 まず、消防の広域化の意義について伺います。 市町村消防の広域化については、平成18年6月の消防組織法の改正を受け、本県では、平成20年3月に「神奈川県消防広域化推進計画」を策定し、県として消防の広域化に向けた調整に当たってきているところであります。 広域化の対象とされる五つの地区のうち、県西地区においては、箱根町、湯河原町及び真鶴町については将来に向けた課題とされたものの、残る2市5町により消防本部を統合し、小田原市への事務委託方式による消防の広域化について、事務委託に関する規約が締結されたところであります。また、県内の他の地区については、主に消防指令業務の共同運用について検討を進めていると聞いております。 三浦半島地区においては、横須賀市、三浦市の2市が法定協議会を設置し、将来の消防広域化を視野に、平成25年4月からの共同運用開始を目指すこととしております。また県央東部地区では、海老名市、座間市、綾瀬市の3市が法定協議会を設置し、平成27年度からの共同運用を目指すこととされています。 私の地元の湘南東部地区においては、藤沢市、茅ヶ崎市、鎌倉市及び寒川町の3市1町において、広域連携による消防力の向上と防災機能のさらなる強化を図るため、本年2月に覚書を締結し、将来の消防の広域化に向けた研究を行うこととしております。 このように、広域化を目指す動きがあるその一方で、広域化を進めると、消防本部の統合により消防署や消防職員の削減が行われ、地域の消防力が低下するのではないか、また現在のようなきめ細かい消防活動ができなくなるのではないかとの懸念の声も聞こえてきます。 そこで、
安全防災局長に伺います。 地域の県民の安全・安心を守るという観点から、消防の広域化はどのように意義があるのか。また、消防の広域化によって、災害現場での対応がどのように充実強化されるのか、お伺いいたします。 次に、消防の広域化の実現に向けた今後の取り組みについて伺います。 本格的な少子・高齢社会、人口減少社会を迎える中、救急需要の増加や大規模な災害に備えるため、消防力を一層、充実強化させる必要があります。そのためにも、消防の広域化はぜひとも推進していかなければならない施策と考えます。しかしながら、先ほど述べましたとおり、県西地区以外の県内の地区においては、消防指令業務の共同運用の検討にとどまっております。 現行の「神奈川県消防広域化推進計画」は今年度末に計画期間が満了しますが、現状からすると、年度内に消防本部機能の統合を達成するのは県西地区のみという状況であります。 消防指令業務の共同運用は、指令業務の人員を集中させ、効率化を図ることができますが、本部機能全体の統合に比べると、市町村の行財政上の効果は限定的であり、消防の広域化という意味においては道半ばであると言わざるを得ません。 先ごろ、国の消防審議会の答申が出ましたが、全国的に見ても広域化の進捗状況が十分でないために、広域化実現の期限を5年間延長すること、広域化の優先度が高い地域に優先的に支援を行うことなどが提言されています。 県としても、今後の消防の広域化の進展に向け、これまで計画どおり進んでいない原因を分析するとともに、神奈川県消防広域化推進計画の見直しや、市町村に対するより積極的な働きかけが必要であると考えます。 そこで、
安全防災局長に伺います。 消防の広域化の実現に向け、県として、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 質問の第5は、河川の治水対策における地域の建設業者との連携について伺います。 近年、いわゆるゲリラ豪雨や台風による集中豪雨の被害が多発しており、河川整備などの治水対策を着実に進めていくことがますます重要となっています。この点について、県では、平成22年3月に「都市河川重点整備計画(新セイフティリバー)」を策定し、取り組みを進めていると承知しています。 この計画では、中小河川のうち、特に過去の大雨で水害が発生した河川や都市化の進展が著しい地域を流れる18河川について重点的に整備を進め、おおむね30年間で、18河川のうち9河川については、時間雨量60ミリの降雨に対応した整備を完了し、その他の9河川については、おおむね時間雨量50ミリの降雨に対応した整備を完了することとされており、治水に対する取り組みとして評価をしているところであります。 一方、ソフト面での取り組みについては、集中豪雨が発生しますと、水防体制をとるとともに、河川護岸の決壊時には速やかな通報や協力応援を行うことが必要であります。この場合、現場における応急対策については、地域の建設業者との連携が非常に大切であります。本県では、地震、風水害、その他の災害応急工事に関して、土木事務所と各地区の建設業団体で業務協定を締結していると承知しています。 しかし、最近の集中豪雨では、被害箇所が複数で広域にわたるケースがふえています。例えば、1カ所で堤防が決壊し、その場所の応急対応にかかりきりになっている間に、管内の別の水系において河川の氾濫が発生し、そちらが手薄になり、初動態勢におくれをとってしまうようなことがあってはなりません。 このように、それぞれの箇所に十分な対応が行き届かないことが懸念されており、地域の建設業団体や建設業者と常日ごろから役割分担を明確にし、協力体制をとっておくことが不可欠と考えます。このような対応を徹底することにより、集中豪雨発生時にも、県民の安全・安心の確保にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 そこで、
県土整備局長に伺います。 同時多発的な集中豪雨被害に備えて、河川の治水対策上、地域の建設業者との連携をどのように進めていこうと考えているのか、お伺いいたします。 最後に、スポーツ振興について伺います。 この夏、イギリスのロンドンで開催された第30回オリンピック大会は、204の国と地域から約1万1,000人が参加し、開会式前実施のサッカーを含めると19日間にわたり26競技302種目で熱戦が繰り広げられたことは記憶に新しいところであります。 世界中のトップアスリートが一堂に会し、ロンドンを舞台に繰り広げられた数々の戦いは、オリンピック史上に残るドラマとして、世界中の人々に多くの感動を与えたことと思います。 今回の日本選手団の活躍は目覚ましく、特に卓球やフェンシング、アーチェリーなど、史上初めてメダルを獲得するなど、全体としても過去最多となる38個のメダルを獲得した選手たちの活躍は、見ている私たちを魅了いたしました。 また、女子サッカーのなでしこジャパンのメンバーや水泳、柔道、フェンシングなどで本県ゆかりの選手がメダルを獲得する活躍を見せてくれたことは、神奈川県民にとっても大きな力になったことと思います。 このように、世界中が注目する舞台で活躍するトップアスリートの存在は、国民に感動を与え、未来を担う子供たちに夢と希望を与えるとともに、国民生活を活気づけ、生活を豊かにすることにもつながっています。 特に、将来のアスリートを目指す子供たちにとって、オリンピックなどで活躍するトップアスリートは憧れの対象であると思います。私は、この盛り上がりの火を消さぬよう、スポーツ振興の取り組みを継続していくことが重要なのではないかと思っています。 今年の3月に策定された国のスポーツ基本計画においても、トップアスリートの発掘・育成・強化を図り、国際競技力の向上に向けた取り組みを推進することとしています。スポーツ振興を図るためには、学校教育や地域社会における子供のスポーツ機会の充実やライフステージに応じたスポーツ活動の推進など、さまざまな取り組みが必要ですが、トップアスリートの育成・強化を推進することも、スポーツ振興を図る上で大変重要であると考えています。 国では、トップアスリートの発掘・育成・強化を図り、国際競技力の向上に向けた取り組みを推進することとしており、そのために強化拠点として国立スポーツ科学センターやナショナルトレーニングセンターを設置して、アスリートのトレーニングや医科学面からのサポートを担っていると承知しております。 メダリストの帰国後のインタビューなどでの発言からもうかがえるように、こうしたサポートが今回の日本選手の活躍につながったものと理解しています。 このように、世界で活躍するアスリートを育成することは、最終的には国の役割であると思いますが、県レベルでの取り組みとして、県内の子供たちを初め、県民のスポーツ機運を高めていくことも大変重要ではないかと考えています。そのためには、神奈川生まれ、神奈川育ちのトップアスリートの育成や支援を行うこととあわせて、スポーツ人口の拡大を目指し、スポーツの裾野を広げていく取り組みを進めていく必要があるものと考えています。 そこで、教育長に伺います。 トップアスリートの育成・強化は、体育協会や関係競技団体の協力と長い歳月が必要であり、一朝一夕にできるものではないものと思いますが、これまで本県において、スポーツの裾野を広げるための取り組みや競技力向上に対する事業をどのように行ってきたのか、また、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、教育長にお伺いをいたします。 以上で、私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。〔拍 手〕〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 黒岩知事。〔知事(黒岩祐治)登壇〕
◎知事(黒岩祐治) 飯田議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに、県央・湘南都市圏の交通基盤の整備について、2点お尋ねがありました。 まず、東海道新幹線新駅についてであります。 県では、さがみ縦貫道路の沿線地域などにおいて産業集積を促進するため、地域活性化総合特区の指定に向け、取り組みを進めています。産業集積を進めるためには、東海道新幹線新駅の設置や相模線の複線化などを初め、県央・湘南都市圏の交通基盤のさらなる充実強化を図る必要があります。 そこで、東海道新幹線新駅の設置についてですが、現在、寒川町倉見地区と平塚市大神地区では、新駅の受け皿となるツインシティのまちづくりの実現に向け、両地区一体となって土地区画整理事業などの都市計画決定を目指しています。 新駅を設置する際には、まず誰もがおりたくなる魅力あるまちづくりを進める必要があります。また、この地域は、相模川を挟んだ水の里でもありますので、こうした地域のさまざまな資源の活用も含め、周辺地域と一体となった魅力づくりに取り組むことが重要であると、私はこれまでも申し上げてまいりました。 こうした中、神奈川県東海道新幹線新駅設置促進期成同盟会において、この都市圏にキャンパスのある大学の先生方にツインシティとその周辺地域の魅力あるまちづくりについて検討を進めていただきました。 その結果、これまでの環境共生のまちづくりに加え、健康増進の場として、相模川沿いのサイクリングロードを活用するほか、大型の産地直売施設の設置、大山などの周辺観光地との連携など、地域の資源を生かした魅力づくりを進めるべきとの提言が今年7月にまとめられました。 このように提言もいただいたところですが、この地域では今後、相鉄いずみ野線のツインシティへの延伸などにより、ポテンシャルが高まっていくと期待されておりますので、新幹線新駅の実現に向けて、地元市町がさらなる知恵を絞り、主体性を持って魅力あるまちづくりに取り組むことが大切であります。 県としても、地元市町と一緒になって、真剣に議論しながら、マグネット力あるまちづくりに取り組み、その将来像をJR東海に示していくことで、新駅の実現につなげてまいります。 次に、相模線の複線化についてであります。 相模線を複線化するため、県と沿線市町はこれまでJR東日本に対して行き違い施設や部分複線化など、段階的な整備を提案し、輸送力の改善を働きかけてまいりました。また、沿線市町の計画的なまちづくりを促進することが新たな乗客数の増加につながることから、県は市町に対して、土地区画整理や市街地再開発などのまちづくりの手法について助言を行っているところであります。 現在、北のゲートの核となるリニア中央新幹線県内駅の設置に向けた手続が進捗しており、相模線の複線化による輸送力改善の必要性はますます高まっています。こうした中、本年8月に開催した相模線複線化等促進期成同盟会の総会において、活動をより強化すべきとの方針が決定されたことから、鉄道事業者等に対する要望活動を一層強めてまいります。 県といたしましては、さがみロボット産業特区構想を推進し、産業集積を図っていくためにも、相模線の複線化による輸送力改善は欠くことのできないものと考えています。 こうしたことから、さがみ縦貫道路の整備とあわせて、東海道新幹線新駅、リニア中央新幹線県内駅、それらを結ぶ相模線の複線化による輸送力改善を進め、県央・湘南都市圏を南北に貫く交通軸の強化にしっかりと取り組んでまいります。 次に、生活支援ロボットの実証実験についてお尋ねがありました。 今回、地域活性化総合特区のテーマとした生活支援ロボットは、例えば走行している自動車が人や物を感知すると、衝突を防ぐため自動的に停止するといった物事を感知、判断し、動く、とまるという動作を行う幅広い技術の集合体であります。そのため、多くのものづくり企業が関わることができる分野であります。 また、介護用ロボットなどでは、使用する方々の個別ニーズに合わせた製品づくりが求められるケースも多く、きめ細かいニーズに柔軟に対応できる中小企業向きの特性を持っています。 こうしたことから、生活支援ロボットの開発、実用化に当たっては、高い技術力を持つ多くの中小企業等の参画が期待できるところでありますが、加えて、さらなる技術力向上の機会にしていくことが大切であります。 そこで、総合特区における規制緩和や研究開発費の拡充などを生かして、生活支援ロボットが実際に使用される場所と同じような環境で実験できるよう、区域内に実証フィールドを設け、短期間に改良と実証を繰り返すことで、参加企業の技術力の向上も図ってまいります。 さらに、本県がこれまで進めてきた神奈川R&Dネットワーク構想の取り組みを生かし、ロボットに係る研究開発等を通じた県内大企業と中小企業との技術連携の充実を図り、それぞれの技術力の向上も目指してまいります。 こうした取り組みの積み重ねによって、さがみ縦貫道路沿線地域等をロボットの開発・実証のメッカとし、その魅力で県外から高い技術力を持った企業を積極的に呼び込んでまいります。 今回の実証実験の取り組みは、県内の先端的技術を持つ中小企業にとって、その技術力をさらにアップさせる大きなチャンスともなりますので、地域活性化総合特区の指定を受けられるよう全力を尽くしてまいります。 最後に、小児医療費の助成制度についてお尋ねがありました。 小児医療費助成制度につきましては、子供の健全育成と保護者の経済的負担軽減を図るため、実施主体である市町村に対し、県が補助を行っております。この制度については、平成17年4月に安定的かつ継続的な運営を図るため、全市町村から県に対して制度の見直しの要望がありました。 県は、市町村と検討会を設置し検討を重ねた結果、平成20年10月に一部自己負担金を導入するとともに、通院の補助対象年齢を3歳未満から小学校就学前まで拡大したところであります。 その後、市町村では独自に見直しを行い、現在、26市町村が県の補助基準を上回って対象を拡大しており、市町村から県の補助対象の拡大を求める要望も出されております。しかしながら、県は危機的な財政状況を受け、緊急財政対策本部を設置し、財政の抜本的な構造改革に取り組んでいるところであり、補助金についてもゼロベースで見直すこととしております。 対策本部の調査会の最終意見を受けて、今後、県としての取組方針を検討してまいります。小児医療費助成制度につきましては、社会保障と税の一体改革との関連、見直しによる県民や市町村への影響という観点からも検討してまいります。 なお、この医療費助成については、すべての子育て世帯が安心して子供を産み育てることができるよう、全国一律の制度で実施すべきと考えており、今後もあらゆる機会を通じて、国に対して統一的な公費負担医療費助成制度の創設について働きかけてまいりたいと考えております。 私からの答弁は以上です。〔
安全防災局長(蛯名喜代作)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 蛯名
安全防災局長。
◎
安全防災局長(蛯名喜代作) 消防の広域化について何点かお尋ねがありました。 まず、消防の広域化の意義についてお答えいたします。 昨年の
東日本大震災や近年のゲリラ豪雨、県西部に大きな被害をもたらした一昨年の台風9号のように、災害が大規模・複雑化しており、また救急搬送人数が人口の伸び以上に増加するなど、消防を取り巻く環境は大きく変化しています。 これに対して、市町村消防は管轄人口、財政規模等に大きな差があり、特に小規模な消防本部においては人員体制や装備などの面で対応に限界があります。消防の広域化には、消防本部の規模を大きくし、消防体制の一層の充実と高度化を図ると同時に、行財政上のスケールメリットを実現するという意義があります。 今年度末に広域化が実現する県西地区では、例えば南足柄市南部の岡本地区で火災が発生した場合、小田原市側からも出動することとなり、現場到着時間の短縮など、初動態勢の強化が図られます。また、消防本部の統合により、本部の職員は17名削減する一方、現場要員を8名ふやす計画となっており、人員面でも現場対応力が高まります。 さらに、専門的な訓練を受けた隊員と高度な資機材を装備した救助工作車1台から成る高度救助隊を新たに編成するなど、これまで対応が困難だった災害への対応力も強化されます。これらに加えまして、無線設備などへの二重投資の回避やスケールメリットにより、県西地区2市5町全体で10年間で約13億円の財政削減効果が見込まれています。 このように消防の広域化は災害対応力の強化、財政負担の軽減の両面から大きな効果が期待できます。 次に、消防の広域化の実現に向けた今後の取り組みについてお答えいたします。 広域化が進まない理由としては、市町村行政と消防の関係が希薄化することへの懸念、職員の処遇や財政負担などに関する市町村間の調整が困難なこと、さらに広域化に伴う初期投資の負担などがあります。こうしたことから、県西地区を除く他の四つの地区においては、複数の市町村が将来的に広域化を目指すとしながらも、当面は消防指令業務の共同運用を検討するにとどまっています。 消防指令業務の共同運用については、消防防災力の向上という面では一定の効果もありますが、少子・高齢化と人口減少社会の到来を前に、消防本部の統合によって市町村消防のいわば基礎体力を向上させる必要があると考えております。 先ほど申し上げた県西地区のように課題を克服し、行財政上のメリットを生み出しながら消防力を強化し、住民の安全確保の向上に向けて着実に取り組みを進めている地区もあります。 県といたしましては、広域化が進まない理由や課題について、市町村とともに再検討を行い、県西地区における調整過程で培ったノウハウを生かしつつ、それぞれの地域の実情に応じたきめ細かい支援を引き続き行ってまいります。 また、広域化への支援措置延長に関する国の方針や各市町村の検討状況、意向などを把握した上で、必要に応じ、県の「消防広域化推進計画」の見直しや期限の延長についても検討してまいります。 私からの答弁は以上です。〔
県土整備局長(高村栄二)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 高村
県土整備局長。
◎
県土整備局長(高村栄二) 河川の治水対策における地域の建設業者との連携についてお答えします。 近年、頻発している集中豪雨などにより、治水対策の重要性はますます高まっており、河川整備を着実に進めることが必要ですが、一方で、災害時に備え、日ごろから地域の建設業者との連携体制を確立していくことも大変重要であります。 そこで、県は風水害や地震などの災害に備えて県内の建設業団体と災害時の応急活動に関する協定を結んでいます。この協定に基づき、河川や道路ごとにあらかじめ地域の建設業者を緊急業者として決めておき、台風などの際にはその業者が県の土木事務所等と連絡をとりながら、河川や道路などのパトロールや必要な応急復旧工事を実施しています。 具体的に申し上げますと、河川においては、今年6月の台風4号や7月の梅雨前線の豪雨により、酒匂川や金目川などで護岸が壊れる被害がありましたが、県の指示に基づき緊急業者は速やかに大型土のう積みやブルーシート張り等の応急復旧工事を行いました。 また、日ごろの訓練も重要ですので、県は地元の市町とともに、地域の建設業者にも参加していただき、定期的に水防演習を行っています。今年5月には、酒匂川で地域の消防団や自衛隊など約1,000名の参加により演習を実施し、地域の建設業者には水防資材の運搬や大型土のう積みといった訓練を行っていただきました。 県といたしましては、今後とも、このように災害時に重要な役割を担う地域の建設業者と連携を図り、県民の安全・安心の確保にしっかり取り組んでまいります。 私からの答弁は以上です。〔教育長(藤井良一)発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 藤井教育長。
◎教育長(藤井良一) 教育関係についてお答えいたします。 スポーツ振興についてお尋ねがございました。 県教育委員会では、本県のスポーツ振興指針であるアクティブかながわ・スポーツビジョンの中で、トップアスリートの育成・強化を位置づけ、スポーツに親しむ人の裾野の拡大と競技力の向上に取り組んでまいりました。 まず、スポーツに親しむ人の裾野の拡大については、何よりも多くの人にスポーツに興味、関心を持っていただけるよう運動やスポーツに親しむきっかけをつくることが大切であると考えています。 そこで、毎年、体育の日を中心に県民スポーツ週間を設け、すべての市町村や関係団体とも連携して、スポーツ体験教室や施設の無料開放などに取り組んでおり、毎年、30万人を超える方々にご参加をいただいております。 中でも、子供たちを対象としたスポーツ体験教室は、オリンピックの金メダリストなど、神奈川ゆかりのトップアスリートに直接指導を受けられることから、子供たちに大変好評を博しております。 また、競技力の向上については、将来性のあるジュニア選手が進学などで指導者や練習拠点が変わっても一貫した指導が受けられる環境を整えることが大切であると考えております。そこで、これまでに県体育協会や各競技団体と連携して、14の競技の基本技術や指導方法などをまとめた指導マニュアルを作成し、一貫した選手の育成強化に大きな効果を上げております。 今後も、競技力の向上に向けて新たな競技種目の指導マニュアルを作成し、指導者に活用していただくとともに、より一層多くの方にスポーツに興味・関心を持っていただけるようスポーツに親しむ機会の充実に努めてまいります。 以上でございます。〔飯田 誠議員発言の許可を求む〕
○副議長(笠間茂治) 飯田誠君。
◆飯田誠議員 自席からの発言をお許し願いたいと思います。 いろいろ答弁をいただきました。県央地区も将来にかけて夢を徐々にではあるけれども、実現しつつあるなという実感をいたしました。単に新駅だけをつくるのではなくて、もっと周りを見渡して観光も含めた拠点づくりも大切だというような知事からのお話もいただきました。大変興味深く、心強く思いました。これから何年か後にそれが実現したときにはどんな地域になるのだろうということを、答弁の中で、夢を見ながらお聞きをさせていただきました。どうか限りないご努力をひとつよろしくお願い申し上げます。 また、あらゆる面で、それぞれが県民の安心・安全のために努力をいただいているというご答弁をいただいて、本当に心から感謝を申し上げます。答弁をしていただきまして、ありがとうございました。 これで私の質問は終わります。
○副議長(笠間茂治) お諮りいたします。 本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(笠間茂治) ご異議がないと認めます。 よって、本日の質問はこれで終わります。 ───────────────────────────────────────
○副議長(笠間茂治) 以上で、本日の日程は終了いたしました。 次回の会議は、明21日午前10時30分に開きます。 本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。 午後4時40分 散会...